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飛騨高山のお餅屋さんが創った地産地消バウムクーヘン(㈲尾﨑餅店)

今週のイチオシ事例は、岐阜県飛騨地方の高山市国府町にてお餅や赤飯、和洋菓子を

製造/販売している有限会社尾﨑餅店です。

 

当社は1968年の創業以来、社名の通りお餅や赤飯、和菓子を製造してきたのですが、

そのかたわらで、ものづくり補助金を活用して地元産のお米とリンゴを原材料とする

バウムクーヘンを開発し、店舗での直販をしています。

支援専門員の矢橋がその現場を取材してきました。

 

<当社のバウムクーヘンの原材料のリンゴ>

 

 

飛騨高山は言わずと知れた

 

東海地方を代表する観光地です。

 

定量的な面を見てみると、新型コロナ感染拡大以前は

春と秋の高山祭の合計入込客数は約40万人

高山市における海外からの観光客の宿泊者数は年間約60万人

高山市における観光消費額 は1,013億円(市内総生産額3,642億円の1/4以上)

と、いかに

海外を含む多様な地域から多くの人を集めて、

「飛騨」「高山」「岐阜県」の知名度とイメージを向上させ、

地域経済に貢献しているか、

が実感できます。

 

<高山市ウェブサイト>

 

しかし、

 

飛騨高山にはないもの

 

がある。と、

ここで生まれ育ち、食品製造業にたずさわってきた当社の尾﨑社長はずっと思って

いました。

 

それは、

 

地元食材を使った地元産のご当地贈答品

 

です。

 

地元のお客さんから、他県への贈り物として飛騨高山らしさがある良いものは?

とよくきかれるものの、

・誰にでも気軽に贈れて

・おいしく

・デザイン性が高い

食品はこれだ、というものがありませんでした。

 

確かに、飛騨牛や地酒などの優れたものがあるのですが、贈る相手や用途を

選ぶため、気軽さに欠けます。

 

そこで、

 

創業以来培ってきたお米に関する強み

 

つまり

・お米を加工する豊富な技術

・新製品開発ノウハウ

・お米の仕入れを通じた地元の生産農家や農協との強い信頼関係

を持つ当社は、

 

地元の高山市内で採れるコシヒカリの

 

米粉とリンゴを使ったユニークなバウムクーヘン

 

を開発して、改装した自社店舗で販売しようとしました。

 

 

当社が開発した「飛騨りんごのバウムクーヘン」は、

1. “リンゴが真ん中”にあって

2. そのまわりに“米粉”でつくった生地を10層以上焼きつけた

3. “丸い球の形”をしています

が、

この3条件がすべてそろった、当社とまったく同じバウムクーヘンは今のところ

検索しても見当たらない、とてもユニークなものです。

 

 

ただ、開発を始めてすぐに大きな壁が立ちはだかりました。

1-1. 和菓子用の米粉は粘りがありすぎて生地を均等な層に焼き上げられない

1-2. 適した米粉を外注すると過大なロットで発注をせざるを得ない

2.  量産するにはバウムクーヘン専用オーブンが必要

という課題です。

 

 

そこで当社は

 

平成29年度補正ものづくり補助金を活用

 

して

1. 超小型気流粉砕機(フェアリーパウダーミル)

2. バウムクーヘンオーブン

導入し、

バウムクーヘン向きの米粉から最終製品まですべて自社で製造できるようにしました。

 

 

<左:超小型気流粉砕機、右:バウムクーヘンオーブン>

 

もっとも、機械を導入すれば終わりというものではなく、導入後しばらくは

量産ノウハウの確立を急ぐ試行錯誤の日々でした。

 

プレーンなバウムクーヘンの焼き上げは完全に自動オーブンにまかせられるの

ですが、「飛騨りんごのバウムクーヘン」には、一層ごとに均等に、できるだけ

真ん丸に焼けるように生地を塗る、熟練の職人技が必要だからです。

 

ここでオーブンに入れてから焼き上げるまでの

 

製造工程

 

の概要を明かすと次の写真と動画の通りです。

店舗からガラス越しにオーブンの中でクルクル回りながら一層ずつ太っていく

バウムクーヘンを見ているととても楽しいです。

 

 

<スタート!>              <1層目の生地を塗る直前>

 

  

<リンゴに生地を塗ります>       <10層以上も焼いては生地を塗るの繰り返し>

 

  

<偏りなく丸くなるように生地を塗ります> <焼き上がり直後>

 

<写真をクリックすると動画が出ます>

 

 

当社のお店は周辺の

 

飛騨の田園風景の中で、

 

派手すぎず地味すぎず、いい感じのアクセントになっています。

取材中にも、何人かお客さんがきて、贈答用と思われる商品が売れていました。

そんなに人口密度が高くない当地で、しかも自宅用には高額な商品ラインアップ

であることを考慮すると、いい方向の意外性を感じました。

 

  

<大きなムラがある入口の窓ガラスにもデザイン性への強いこだわりがあります>

 

   

<陽光がさしこむ開放的な店内 ガラス越しにバウムクーヘンオーブンが見えます>

 

 

<プリンなどの新製品やエゴマなどの地元産品も販売しています>

 

お店の住所は岐阜県高山市国府町三日町403-3です。

電話(0577-70-8371)かメール(faveur-hida@hidatakayama.ne.jp)でお取り寄せ

することもできますが、ドライブがてらお店に立ち寄って、飛騨高山のお土産として

買い求めるのも一興です。

 

なお、当社は米粉を使った多様なバウムクーヘンを製造/販売していますが、

「飛騨りんごのバウムクーヘン」は当地でリンゴが採れる秋だけの季節限定商品です。

 

 

 

私はここで、

今はないけど、あるといい物事、を自分の強みを活かして創っていけばお客さんは

ついてくる、と教えていただきました。

 

 

 

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