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お得な融資制度の使い方

こんにちは、支援専門員の虫鹿真司(むしかまさし)です。

 

今回(第5回)は、「お得な融資制度の使い方」についてご案内します。

 

令和2年度第3次補正予算で確定した補助金の手続き方法についてご案内しようかと考えておりましたが、各種補助金の詳細な情報が公開されていないため、今回は融資に関するお話をさせていただく事にしました。なお、新型コロナウイルス感染症対策の融資に関しては、十分な情報発信が各所からされている事、期間限定かつ流動的である事から、紹介対象から外しておりますのでご承知おきください。

 

融資制度の種類

まずは、融資制度についての案内です。地方公共団体独自の融資制度からビジネスローンまで、融資による資金調達方法は数多くあります。その中でも活用される事が多いものは下記の3つです。

 

・プロパー融資
「プロパー融資」とは、信用保証協会を通さずに金融機関から直接受ける融資の事を言います。経営状態や民間金融機関との関係性が良好な事業者であれば、非常に低い金利で融資を受けられる事も珍しくありません。基本的には一番調達コストが低い方法です。ただ、金融機関が貸倒リスクを丸抱えする事になるので、業歴が短かったり財務状態に不安がある事業者の方は応じてもらえない事もあります。

 

・保証付き融資
「信用保証協会」とは、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援する事を目的に設立された公的機関です。47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)に設置されており、事業者の債務保証をする事で、金融機関からの融資を受けやすくなります。保証金額の枠が決まっており、事業規模が大きくなってくると枠内に収まらなくなる事もあります。

 

・日本政策金融公庫からの融資

公的融資を行う代表的な機関です。中小事業者向け支援の窓口は、国民生活事業と中小企業事業に分かれており、借入可能な金額以外にも様々な違いがあります。あくまでも民間金融機関の補完をする位置付けであるため、経営が苦しい時、新たな事業を展開するために設備投資を行う時など、場面を限定して活用する事が多いです。

 

プロパー融資と保証付き融資については、取引のある金融機関から日常的に案内されているケースが多いですが、日本政策金融公庫の活用方法については意外と知られていないように感じます。そのため、日本政策金融公庫のお得な融資制度を中心にご案内します。

 

 

マル経融資(小規模事業者向け)

小規模事業者にお勧めしたいのが、「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」です。この融資は、商工会議所や商工会の経営指導のもとで経営を改善していこうとする意欲ある方に、日本政策金融公庫(国民生活事業)から貸し出されるものです。

 

※小規模事業者とは「常時使用する従業員が20人以下(宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業にあっては5人以下)の法人・個人事業主の方」です。

 

マル経融資について(クリックするとパンフレットが開きます)

 

 

小規模事業者の方が民間金融機関から融資を受ける場合、保証付き融資を提案されて利率(保証料含む)が高くなってしまう事が多いですが、この制度を活用すれば低い金利で資金を調達する事が可能です。特に、運転資金を調達しようとする場合に金利の魅力が際立つ事が多いです。さらに、保証人も担保も不要という長所もあります。

 

窓口は商工会議所または商工会ですが、「これまで利用した事がない」という方もいらっしゃるかと思います。そういった場合は、顧問税理士や国民生活事業の担当者から商工会議所または商工会につないでもらうとスムーズに手続きが進みます。

 

商工会議所や商工会との接点がないという理由で見送ってしまうにはもったいない制度です。ぜひ選択肢のひとつに加えてみてください。

 

 

★主なメリット
・金利が安い。(2021年2月5日時点で「1.21%」)

・保証人、担保が不要。

 

★注意点
・商工会議所や商工会などの経営指導を受けている必要がある。
・タイミングにもよるが、審査を経て融資されるまでに時間がかかる。

 

 

新事業活動促進資金(規模が大きい事業者向け)

日本政策金融公庫(国民生活事業及び中小企業事業)が取り扱っている融資制度です。国民生活事業、中小企業事業ともに、通常の融資制度と比べて金利が低いなどのメリットはありますが、元々の金利ベースが低い中小企業事業の新事業活動促進資金は、特にメリットが大きいです。

 

日本政策金融公庫が貸出金利の基準とする「長期プライムレート(金融機関が企業に対して期限1年以上の融資をする際に最低限度となる金利)」の水準にもよりますが、近年では1%以下の金利で長期資金を借りられる事も珍しくありません。

 

有利な融資制度には厳しい利用条件が設定されている事が多いのですが、こちらの制度は「経営革新計画の承認を受けた方」が対象であり、割とハードルが低めです。経営革新計画はものづくり補助金の加点項目となっている事もあり、認定を受けられた事業者の方も沢山いらっしゃるのではないかと思います。企業規模や借入申込金額によっては国民生活事業を紹介される事もあり、割と規模が大きい事業者の方に相性がいい制度です。

 

岐阜県の経営革新計画ですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあって岐阜県庁での面談がなくなっているなど、一昔前よりも手続きが簡略化されているようです。保証協会の枠が広がるなど他の特典もあるので、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

なお、同じ日本政策金融公庫でも、国民生活事業と中小企業事業では担当者も審査の方針も違います。中小企業事業では、決算書も事業内容もじっくりと審査される傾向がありますので、少しだけ気を引き締めて相談されるといいかもしれません。また、日本政策金融公庫は民業補完の役割を求められているので、メインバンクを通じて相談していただけるとお話がスムーズに進む事が多いです。

 

 

★主なメリット
・金利が安い。(2021年2月5日時点ので「0.46%」)
※ただし、借入期間などによって利率は変動
・借入期間をかなり長く設定できる(最長で20年。)

 

★注意点
・経営革新計画の認定を受けるなどの条件がある。
・中小企業事業を始めて利用される場合、国民生活事業と比べて審査手続きが厳格。

 

 

経営改善計画(融資関連の問題を抱えている方向け)

借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えており金融支援が必要な中小企業・小規模事業者が、認定支援機関と一緒に経営改善に向けた計画策定・施策実行を行うための制度です。この制度を活用する事で、認定支援機関に支払う報酬の「3分の2(上限200万円)」が補助されます。

(※認定支援機関とは、「中小企業庁が認定した、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等」です。)

 

ものづくり補助金に採択される事業者の方のほとんどは、財務上の大きな問題を抱えていないかと思いますが、新型コロナウイルス感染症など急激な外部環境変化によって、経営状況が大きく変わってしまう事もあります。

 

融資関連で問題となるのは、お金を思うように借りられない時、そして返せない時です。追加融資が受けられない状況になっても、金融機関に相談する事で、多くの場合は元本返済の停止や軽減に応じてもらえます。しかし、限られた手持ち資金が尽きる前に現金の流出を止めて、一刻も早く黒字化を目指す必要が出てきます。

 

ギリギリの手持ち資金を頼りに事業を立て直すのは非常に過酷な事です。そして、「もう少し早く動いていれば、色々とやり様があったのに…。」というケースが少なくありません。

 

そのため、少なくとも金融機関への借入金返済が滞る前には、客観的な視点も取り入れて経営改善に向けた取り組みをして欲しいと思っています。

 

経営改善計画支援事業について(クリックするとパンフレットが開きます。)

 

 

この制度を利用されるかどうかに関わらず、経営状態が「あれっ、おかしいな。」と思ってから早めに対策をされるか否かで、事業者の将来は大きく変わってきます。顧問税理士、公的機関の経営指導員など、気軽に相談できる方が近くにいると心強いですね。

 

 

今回は、お得な融資制度とピンチになった時の支援策について紹介させていただきました。

 

盤石な財務状態で無借金経営を目指すのも魅力的ですが、金融機関の力を借りながら効率的に事業を拡大していくのも素晴らしいと思います。激変する外部環境に対応するため、金融機関の活用方法について考えていただければと思います。

 

 

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