イチオシ事例
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世の中にないものは創る。やったことがないからやる。(幸栄テクノ㈱)
今回のイチオシ事例は
自動組み立てラインなど、日本の様々な生産現場で活躍し、
ものづくりの現場を支えるパレット・トレーの設計・製作を行っている
「幸栄テクノ株式会社」さんです。
皆様、こんにちは。
支援専門員の野村昌史(のむらまさふみ)です。
今月は、創業以来培ってきた独自の企画力と技術力を生かして、
様々な業界の生産現場の細かな要望に100%マッチする製品を製作し、
現場の生産性向上や自働化まで下支えしている事例を紹介させて頂きます。
世の中にないものは作る。やったことがないものは挑戦する。
創業から変わらない、ものづくりにかける想いと行動力から、
たくさんの学びと力強い後押しを手にして頂けると思います。
幸栄テクノ株式会社について
1984年10月 金型メーカーとして幸栄精機株式会社を創業。
金型を通じて、お客様の生産現場を技術力で支えつつ、
お客様から日々寄せられる様々な要望や相談に丁寧にお答えすることで着実に成長していきました。
その後、お客様からの要望に応える形で、製作した金型を使用した成型加工分野も自社で対応することとなり、事業領域を垂直に拡大してきました。
2010年4月 後継者であり、現・代表取締役の浅野展生氏が事業を引き継ぐタイミングで幸栄テクノ株式会社を設立。取引先向けの金型製造・販売事業から撤退し、成型加工事業を主力事業として実施することとなりました。
金型設計・製作で培ってきた技術力や知識を生かして取引先の生産ラインの効率化や自働化に貢献するパレット・トレーを開発・提供し、取引先のものづくりにおける生産性向上に貢献しています。
当社では、これまでの経験を通して、モノづくりには「基礎」は大事ですが、それだけではモノは作れない。それ以上にお客様の要望を満たすことができる「応用力」が重要であると考えています。
この考えを大切にしながらものづくりに取組んできたことが、お客様からの信頼に繋がり、今ではありがたいことに上場企業含む日本を代表するような大企業からも受注を頂けるようになっています。
大型化×薄肉(軽量)化への挑戦
当社は競合他社が対応しきれない、取引先ごとに異なる細かな要求に丁寧に応える対応を重視し、樹脂成形用金型及び成形品製造を手掛けてきました。
しかし、グローバル化の進行と、これに伴う部品の多品種化により、個々の要求水準が高まってきたことで、技術面・コスト面がネックとなり、対応できない案件が増加していたことが課題となっていました。
そんな折、主要取引先から人的作業軽減策としてトレーの大型化や薄肉化(軽量化)、さらには多品種部品を共用化できるトレー開発依頼を受けたことが、今回の挑戦のきっかけとなりました。世界的に電気自動車開発への取組みが加速し、国内外で供給用共通トレーの開発・製作依頼が急増していたため、当社もこれに対応していくことで新たなステージへの第一歩になればと考えたのです。
アイデア×技術で新たなステージへ
今回開発依頼があったトレーは、当社がこれまで生産してきた製品と同等の技術では生産することが難しいものでした。取引先の要求に応え、製品化を実現するためには、いくつかの課題をクリアする必要がありました。
【クリアすべき課題】
◆トレーの大型化かつ薄肉化への対応
◆多品種部品の共用化トレー開発
◆完全内製化による生産性向上
◆少人数体制を維持するための生産の自動化
今回、当社が取り組んだ「多品種共用化大型一体トレーの大物・薄肉化技術の確立」には、これらの課題をクリアしなければならないため、平成30年度補正ものづくり補助金を活用して設備を導入しました。
▶電動サーボ射出成形機 「Si-450-6S型」◀
必要な情報のみを選択して1画面に表示する制御システムを搭載し、一目で動作状態を認識することができる。射出速度の高速化、射出圧力の高圧化に対応し、大容量から小容量まで豊富なユニットバリエーションを搭載している。
取組の成果
電動サーボ射出成形機を導入したことにより、これまで1回の射出成形では300×400㎜のトレー製造が限界であったものが、350mm×500mmと大型製品の成型が可能となりました。
さらに、強度の面では15㎜が限界であったリブ高さについて、40㎜までの対応を実現し、薄肉化については、一部誤差が生じたものの、従来よりも最大0.84mm薄くなりました。
以上により、すべての項目で取引先の要求水準をクリアすることができました。
今回、設備を導入して「多品種共用化大型一体トレーの大物・薄肉化技術の確立」を実現したことで、当初抱えていた各課題がすべて解消され、取引先の要望に内製で対応できる生産体制が実現しました。
外注先との調整に時間をかける必要がなくなったことで外注費も削減できた上、迅速な取引先対応が可能となり、取引先からも喜ばれています。
また、自動加工を実現できたことで従業員の残業が減り、有給休暇の取得率も向上するなど職場環境の改善が図ることができました。
幸栄テクノ株式会社のこれから
最後に、代表取締役である浅野展生氏からメッセージを頂いています。
今回の取り組みによって、多品種共用化大型一体トレーの大物・薄肉化技術の確立およびこれを生かした社内生産体制を構築することができました。
これからも、高度化し続ける取引先からの要望をいち早くキャッチし、製品を通じてお客様の生産現場から感謝される仕事を継続していきます。
すでに、次なる革新を図るため、超無人化自動組み立てラインで活躍するICチップ組み込み型トレーの開発など、新たな挑戦に取り組んでいます。
また、業務以外では、羽島市の小学生~大学生までの未来を背負う子供たちに、職場体験等の機会を提供するなどの社会貢献活動も創業以来実施しています。地域に支えられているという自覚を持ち、これらの活動も継続していきます。
『他社では造れない。』 『まだこの世にない。』
取引先から「他社で断られた形状も、幸栄テクノに相談すればなんとかなる」と言われるような企業になることを目指して、当社はこれからも「多品種・小ロット・自動化」を強みに、常に新しいことへのチャレンジをし続けていきます。
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