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イチオシ事例

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目指したのは、お客様のベストパートナー

皆様、こんにちは。

支援専門員の野村昌史(のむらまさふみ)です。

 

 

今回のイチオシ事例は、

店舗や家庭のキッチンを支える木工家具製造を行い、

今年で75期を迎える「日ノ出産業株式会社」さんにお伺いしてきました。

 

 

高い技術力と柔軟な対応力を発揮することで、

国内屈指のメーカーからベストパートナーとして認められるにまで至った

日ノ出産業の取組みからは、活かせるものがたくさん学べると思います。

 

日ノ出産業株式会社の歴史

 

昭和22年3月 岐阜市金町にて創業。

創業から現在に至るまで継続している事業は、木製家具の製造および建材の販売です。

 

昭和37年 岐阜市城東通に本社、岐阜市八島町に工場を構えたところから、当社は事業の拡大に取り組んでいきます。

 

昭和45年 1点ものである木製別注家具の製造を開始すると同時に、金属製家具の取り扱いを開始。

 

しかし、受注生産が中心のスタイルでは売上の波が大きく、安定化を図る必要性を感じた当社はさらなる事業変革に取り組みます。

 

昭和51年 現在の主力事業でもある大手厨房メーカーのシステムキッチンを製造するOEM製造事業をスタート。

 

OEM製造事業を開始したことで、年間を通して受注を確保することができるようになった当社ですが、その道のりは決して安易なものではありませんでした。

 

変化する取引先のニーズに合わせて、柔軟に対応していく中で、当社の技術力や製品の幅を徐々に広げていきました。

 

取引先が変化しても変わらずに持ち続けていたのは「最高品質に製品をお届けすること」。この想いを常に抱いてきたからこそ、お客様から信用を得ることができたのです。

 

 

顧客ニーズに応えるために「生産プロセス改善」への挑戦

 

昨今の少子高齢化に伴い、日本国内では空家が増加している状況が続いています。これを受けて、政府も既存住宅およびリフォーム市場を活性化させるための様々な取り組みを行ってきました。こういった状況において、当社の主要取引先である住宅設備メーカー各社も新商品開発を積極的に進めています。

 

住宅設備メーカー各社が新商品開発に力を入れる中で、メーカーのパートナーとしてOEM製造事業を営む当社には、さらなる高品質化やコスト削減、短納期化、生産量の拡大など厳しい要望が多数寄せられることとなりました。

 

このような状況を踏まえ、お客様の要望に柔軟に応えることで成長してきた当社としては、社内の生産プロセスを改善することで、要望に応えていくことに挑戦しました。

 

そこで、改善に取り組んだのは、各社のシステムキッチンに必要不可欠となる抽斗(ひきだし)製作工程の見直し。

 

キッチンの種類に応じてサイズや形状など様々な仕様が必要となる抽斗製作工程は、生産工程の中でも非常に多くの時間と労力を必要とするものでした。

 

この工程を自動化し、生産効率を高めることが、今回の挑戦の目的となりました。

 

工程の自動化を実現するために

 

抽斗製作工程は、これまでほぼ全てを手作業にて行ってきた工程であり、この工程を自動化する設備や技術を保有していませんでした。そのため、抽斗製作工程の自動化を実現するための社内ミーティングを重ね、課題の洗い出しを行いました。

 

その結果、生産プロセスを改善し、工程の自動化を実現するためには、以下の課題の解消が必要となりました。

 

【クリアすべき課題】

◆作業者によるバラツキの改善

◆中間在庫の削減

◆生産コストの削減

◆リードタイムの短縮

 

手作業による抽斗製作工程では、ベテラン作業者であろうと完成品の精度にバラつきが発生し、作業時間が膨大となることによる中間在庫の増加やこれに伴う高い生産コストが発生していました。

 

当社が生産プロセスの改善を行い、お客様の要求に於応えていくためには、これらの課題をクリアしなければならないため、平成29年度補正ものづくり補助金を活用して独自仕様の抽斗組立機を導入しました。

 

▶抽斗組立機「SDA-8HNC-S」

 

抽斗製作の自動化を可能とする抽斗組立機。事前に登録した加工データを読み出し、レールを選択することで加工を行うことができる自動運転機能に加え、ポジション登録をしておくことで自動でのセット替えを可能とするロボシリンダーを搭載している。抽斗一つ当たり最速16秒で組立をすることが可能。

 

また、今回の取組みでは、誰でも作業を行うことができる体制を構築するために「加工設定条件のマニュアル化」を進めると同時に、設備使用に関する研修を実施しました。

 

取組の成果

 

抽斗組立機を導入したことにより、作業者によってバラツキのあった製品品質の安定化を実現することができました。作業者を問わず、高い品質を維持できており、当初2%程度であった不良率は0%に下げることができました。

 

また、製作におけるリードタイムは、これまで抽斗一つ当たり平均3分程度であったのに対して、1分30秒まで短縮することができました。これにより、中間在庫を半分以下に減らすことができました。

 

さらに、不良率が下がったことに加え、リードタイムが短縮されたことで製作に係る工賃が削減でき、1日当たりのコストを54.0%削減するなど、生産コストの大幅な削減も実現しています。

 

設備を導入したことで、当初抱えていた各課題がすべて解消され、抽斗製作工程の自動化による生産プロセスの改善が実現しました。

 

この成果を生かし、お客様の要望に100%応えることで、主要取引先から最優秀パートナーの1社として選定して頂くことができました。

 

日ノ出産業のこれから

今回の取り組みによって、お客様の厳しい要求水準にも柔軟に対応することができる社内生産体制を構築することができました。

 

2021年3月より、代表取締役に鷲見博幸氏が就任し、新たな体制でのスタートを切っています。

 

鷲見新社長からは、

従業員の立場で物事を考え、従業員の幸せを第一に考える企業であることに加え、お世話になっているお客様にこれからも最高品質の製品をお届けすることで応えていくことを大切にしていきたい。

 

難度が高い製品や、加工に時間がかかる製品など、同業他社が嫌がるような製品であっても、対応していくことで、お客様が困った時に真っ先に頼れる会社であり続ける。

 

80周年に向けてお客様にとって「品質でのNo.1」を目指していきます。

 

『基本的には断らない。“やる方法”を考えて対応する』

これからもお客様のベストパートナーであり続けるために、社員一同力を合わせ、お客様のために力を尽くすことで信用につなげていきます。

 

という熱いメッセージを頂きました。

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