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知恵と技術力でお客様に寄り添う(㈲大野木型)

今回のイチオシ事例は

『顧客第一主義』を掲げ、知恵を生かした独自の製法で
自動車部品業界の根幹を支える検査治具の製造をしている
「有限会社大野木型」さんです。

 

皆様、こんにちは。
支援専門員の野村 昌史(のむら まさふみ)です。

今月も皆様にとって、学びの多い情報発信を心掛けて、
イチオシ事例を紹介させて頂きます。
気づきがあったら、すぐに取り入れてみて下さいね。

 

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<大野木型のこれまで>

 

昭和63年 様々な業界の”寸法精度”を向上するパートナーとして創業。

 

自動車業界の部品製造における検査治具を主軸としながらも、あらゆる業界からの依頼に真摯に対応することで、製造業のパートナーとして信頼を積み重ねてきました。

 

平成23年に現代表が事業を引き継いだところから、先代が積み上げてきた信頼と技術力を大事にしながらも、下積み時代に教えられた「納期厳守」の顧客第一主義を掲げて、順調に業績を伸ばしてきています。

 

<大野木型の信条>

 

平成23年に先代から経営を引き継いだ米村社長は、リーマンショックの影響が残る厳しい状況の中であらゆる業界の仕事を断ることなく受注してきました。結果的に危機を乗り越え、今では大手メーカーとも取引ができるように成長したのです。

 

当時から、米村社長がものづくりをするにあたって大切にしてきた信条があります。

その信条とは
「良いものをどうすれば早く作れるのか」
「良いものを作り続けていれば、仕事の依頼は必ず来る」

 

ものづくりに対して、一切の妥協を許さず自らの信条を貫いてきた結果、今の成長があります。『これからもこの信条を貫き、社員を大切にし、当社の製品を良いと言ってくれるお客様への感謝を忘れず、会社を成長させていきたい』と米村社長は未来を見据えて語っていました。

 

 

<業界変化の最先端へ>

 

当社は自動車部品の成形を測定・検査するための「検査治具」を3軸加工設備を用いた分割製法にて手掛けています。

 

この分割製法は、5軸切削加工に比べ工期が圧倒的に短いこと、製品が分解可能であり、設計改修に対応しやすいことなどのメリットがあるため、今では業界の主流になりつつあります。

 

しかし、この分割製法ならではの問題として、個々に作成した部品を組み合わせる際に生じる誤差が累積し、より大きな誤差が生じるというものがあります。この累積誤差は大きな問題点であり、その修正と再検査に高い技術力と多くの時間を要するため、この製法のデメリットといえます。

 

このデメリットが壁となり、競合他社が5軸加工機を導入した一括製法に取り組む中で、当社はあえて3軸加工機を使用した分割製法に可能性を見出し、技術を磨き続けてきました。その結果、分割製法が再注目された時点で多くの加工実績と技術を積み上げている当社が業界変化の最先端となることができたのです。

 

しかし近年は、アジアなど新興国でも検査治具製造が本格的に開始されるなど、国際競争が激しさを増してきたことで、さらなる短納期化と低コスト化を要求されるようになりました。

 

これに対応するため、高精度の加工設備を導入し、加工の累積誤差の修正と検査プロセスの改善をすることにより、顧客からの要求にも応えらえるよう当社独自の革新的な製造工程の確立を目指したのです。

 

 

<分割製法のレベルアップで、顧客要求達成へ>

 

さらなる短納期化と、低コスト対応の実現という顧客要求に対応するためには、いくつかの課題をクリアする必要がありました。

 

【クリアすべき課題】

◆温度変化による素材の変質影響を抑えた加工精度の高度化

◆加工誤差を最小化する自動補正工程の確立

◆作業者ごとに異なる経験則に頼った分割ルールの標準化

 

これらの課題に対応するため、平成28年度補正ものづくり補助金を活用して高精度の3軸加工機を導入すると同時に、新たな加工方法の確立に挑戦しました。

 

 

▶高精度加工設備VCN-700D◀

加工設備の精度問題について、温度環境の影響を受けにくくする熱変位制御機能を搭載し、かつ検査治具の意匠形状を加工するために必要な制御機能を有する最新の3軸加工機を導入することで加工精度の誤差を最小化を図りました。

 

▶加工誤差の最小化を実現する独自の加工方法◀

加工誤差を最小化する自動補正工程を確立するため、加工誤差の要因である「材料の熱収縮」「刃具の摩耗」「刃具のたわみ」の3つを個々に対処するのではなく、トータルで解消する独自の加工方法を考案しました。これは、組付け後にペアとなる上下加工物について、下段加工時に生じた誤差を、上段加工時に補正加工することで組付け後の誤差を最小化し、その精度が基準内であるかを検証するというもの。

 

さらに、今回の事業では、設備を導入するだけでなく、人為的なミスによる加工誤差を削減するため、これまで作業者が経験則で個別判断していた分割ルールを標準化し、検査治具における最適な4パターンの分割ルールをまとめた手順書を作成しました。この手順書に基づき、補正値管理ファイルへ自動入力するマクロを設定し、誤差を補正するプログラムを作成しました。

 

<どんな成果を得られたのか>

 

高精度の加工設備と独自の加工方法を導入したことにより、組みつけ後の精度が±0.15mmから±0.1mmと33%向上し、顧客からの要求水準を達成できただけでなく、組みつけ後の誤差修正や再検査など修正に350分かかっていた時間が0分となり、手修正レスでの加工を実現しました。

さらに、手順書に基づく数値の自動入力を実現したことにより、人的なミスが無くなったことも大きな成果といえます。

 

今回の取組みで、短納期での対応が可能となり、受注できるパーツが増加したほか、検査を省略できる生産体制となったことで、作業効率が飛躍的に向上し、生産コスト削減に繋がりました。

 

分割製法において、手修正レス高品質加工の実現は業界内でも革新的な取組みであり、業界における当社の地位を高めることができました。分割製法は、取引先側のコスト削減にも貢献できることが喜ばれており、最近は従来の東海地方に加え、中国地方や九州地方といった遠方からの受注も増加しています。

 

<大野木型のこれから>

 

「分割製法」というこれまで当社がこだわりを持って取組んできた加工方法を、今回の取組みによって大きくレベルアップすることができました。この加工方法を当社の強みとして活かすことで、より多くのお客様に喜んで頂ける製品づくりを継続していきます。

 

また、今後は現在の主要取引先である自動車メーカーにおけるライン数増加に対応するため、検査治具供給に力を入れていくだけでなく、加工用ラインの生産性向上に貢献すべく、補助具製造を請負うといった新たな取り組みにも挑戦していきます。

 

 

「納期厳守」の顧客第一主義を徹底的に。

大野木型は、これからも社員一丸となって、お客様への感謝を忘れず成長を続けていきます。

 

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