イチオシ事例
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表面処理から心を豊かに㈱共立化工
今回のイチオシ事例は
『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に
人類・社会の進歩発展に貢献すること』
2017年 石田剛士氏が代表取締役に就任した際、
新たな経営理念を掲げ、決意も新たに表面処理の新たな価値を追求し、
Made in japanの製品に付加価値を付けることで社会に貢献している
めっきのプロフェッショナル企業『株式会社共立化工』さんです。
皆様、こんにちは。
支援専門員の野村昌史(のむらまさふみ)です。
今回は、金属めっきによる表面処理という歴史ある業界で、
同業他社が廃業による減少を続ける厳しい状況の中、事業を承継した
石田社長の奮闘と新たな挑戦ついて紹介させて頂きます。
業界経験0の状態から、日々学び、挑戦を繰り返す中で
会社を成長させてきたその姿勢から多くの学びを得られる事例となっています。
株式会社共立化工の歴史
昭和40年12月 金属加工会社として共立化工有限会社を設立
昭和44年3月 現在の主力事業でもある「めっき事業」を開始する
昭和63年6月 事業が軌道に乗り、事務所社屋の改修を行うと同時に
半自動亜鉛めっき装置を導入
平成4年7月 2代目となる石田恭平氏が代表取締役に就任
平成4年10月 装飾クロムめっきラインを導入し、装飾めっきに注力する
平成29年5月 2代目石田恭平氏の急逝に伴い、石田剛士氏が代表取締役に就任
平成29年7月 新たな経営理念を掲げる
平成30年10月 装飾クロムめっきラインの更新
令和3年6月 株式会社共立化工に改組
創業当時は、金属加工会社として船出をするも、取引先からの要望に応える形で現在に至るまで主力事業となっている「めっき事業」をスタートしました。
その後、取引先を地元の中小企業から三菱電機株式会社や本田技研工業などといった大手企業に至るまで順調に拡大し、ニーズに応えながら技術を磨き、他社には真似できない高いレベルのめっき技術を蓄積していきました。
特に先代がスタートした装飾クロムめっきは、リピーターとなって頂ける取引先が多く、「一度当社のめっきを見ると、他社のめっきには戻れない」と言って頂けることも少なくありません。
会社としての大きな転機は突然訪れました。めっき事業をスタートした2代目の石田恭平氏が急逝しました。これに伴い、代表取締役に就任したのは、当社での就労経験が一切なかった石田剛士氏。知識や技術はもちろん、経営者としての知見も無い0からのスタートを切ることとなりました。
知識も経験もないという状態でありながら、誰よりも学び、誰よりも働き、社員を信頼し、取引先を含む周りの協力を得ながら社業に邁進した石田氏は、様々な改善を行いました。その結果、代表就任2年目にして売上げを2倍近くまで増加させることに成功します。
その後も、様々な挑戦を継続し、同業他社が廃業していく中でも業績を伸ばしてきました。
装飾クロムめっき加工の高度化で強固な事業基盤を構築
当社が扱っているめっき加工は「装飾クロムめっき」「電気亜鉛めっき」「無電解ニッケルめっき」「不働態化処理」「銀めっき」の5つであり、その他には「バフ研磨」や「バレル研磨」といっためっきに付随する加工も行っております。
この内、特に「装飾クロムめっき加工」については、全国的にも競合が少なく、加工技術に関する取引先からの評価も非常に高いため、価格競争に巻き込まれることが少ない分野です。
その背景には、「装飾クロムめっき加工」を施す際に行う、金属素材に対してシアン化銅→硫酸銅の工程を用いるめっき会社が全国的にも少なくなっていることに加え、技術の担い手となる後継者がいない状態となっていることがあります。こういった背景もあり、特に中京圏では装飾クロムめっき加工を行う会社が数社しかないのが現状です。
そして、この装飾クロムめっき加工について、同業他社は商品ごとに専用の自動ラインを組んでいます。これに対して、当社は専用ライン化しないことによって多種多様な商品に対応できる体制をとっており、短納期・多品種の加工が可能であることから、お客様から選ばれる理由となっています。
とはいえ、専用ライン化していないことによる弊害として、めっき槽の維持管理に多大な労力と時間、コストが必要となり、収益化ができていないという現状がありました。
これらの点を改善し、「装飾クロムめっき」の受注を増やすことにより、高付加価値な事業を構築していくことができると考え、今回の挑戦に踏み切ったのです。
装飾クロムめっき加工の高度化を実現するために
当社は他社が嫌うようなめっきが付きにくい複雑形状の製品への装飾めっき加工や、素材が安定しないダイカスト製品に対する装飾めっき加工にも対応できる独自技術を有しています。しかし、めっき加工は湿度や温度、天気にも左右される繊細なものであるため、こういった難しい案件に対応する際には、その分管理が困難となります。当社が選ばれる理由になっている強みを生かし、装飾クロムめっき加工の高度化を実現するためには、いくつかの課題をクリアする必要がありました。
【クリアすべき課題】
◆めっき処理に必要となる時間の短縮
◆PH値管理による被膜技術高度化の実現
◆めっき加工品質の安定化による不良率の低減
当社がもつ独自技術を生かした装飾めっき加工の高度化を実現し、受注量が拡大しても対応することができる生産体制を構築するためには、これらの課題をクリアしなければならないため、平成29年度補正ものづくり補助金を活用して設備を導入しました。
▶イオン交換樹脂塔◀
めっき処理を施す際に生じるシアン化合物を含む回収水のイオン交換を行い、不純物を除去することにより、洗い水に残った不純物が原因の不良、密着不良がなくなり不良率が低下する。
▶めっき装置(ストライク銅めっき槽、水洗槽、塩酸槽、蓚酸槽、電解脱脂槽)◀
本番のめっき処理を施す前段階にあたる各工程で必要となる装置。本番めっき加工の高品質化・安定化には前工程が非常に重要な役割を担う。
▶排気装置◀
ストライク銅めっき槽の有害排気を浄化する目的で設置するもので、ストライク銅めっき槽を大型化するのに対応した設備。めっき作業には不可欠。
取組みの成果
装飾クロムめっき加工の高度化を実現するために取り組んだ今回の事業では、当初掲げた全ての目標を達成することが出来ました。
具体的には、
新たに導入したストライク銅めっき槽の薬液PH値が作業前後で変化することなく一定値を保つことが確認でき、本番めっき加工の良否を分ける下地被覆膜もめっき膜厚を調整することが出来るようになったことで、被膜技術の高度化が実現できました。
また、従来は10%前後であった不良率は、3%前後にまで改善されました。
さらに、これまで120分近くかかっていた薬液管理の時間が60分に短縮され、1ロットあたりのめっき処理に係る時間を30%以上短縮することが出来ました。
今回の取組の結果、当初抱えていた各課題がすべて解消され、品質の安定化・コスト削減・リードタイム短縮を実現することができ、目的としていた「装飾クロムめっき加工の高度化」が達成されました。
その他、今回の取組みを取引先にPRをしたところ、廃液の不純物を取り除く環境に配慮した取組みであることを高く評価頂いています。
株式会社共立化工のこれから
今回の取組を振り返り、石田社長からメッセージを頂いています。
今回の取り組みによって、当社の主力事業である「装飾クロムめっき加工」の高度化を実現することが出来ました。これにより、他社がやりたがらない難しい加工であっても、独自技術を生かして一つ一つ丁寧に対応させて頂くという当社の強みを強化することができたと感じています。
今回の成果を生かし、より多くの“当社の技術を必要として頂ける取引先様”の商品に付加価値の高い装飾めっきを施すことで、共に繫栄していきます。
私が事業を承継した数年前には全国に1,500社程度あった、めっき加工の会社は、現在900社程度にまで減少しています。このような厳しい業界において当社が生き残っていくためには、設備投資を含め挑戦し続けることが重要だと考えています。
現在、新たな挑戦として、岐阜県内の取引先様と連携して自社ブランドの商品開発に取り組んでいます。
『共立化工の夢=人の心を豊かにする』
これからも、お客様の期待に応えるだけでなくプロとしてより良いサービスを提供できるように心がけ、信頼をいただけるような企業を目指します。
そして、弊社に関わる全ての方々に物心両面の豊かさを提供し続けます。
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