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難しいからこそ挑戦しがいがある。(丹羽鋳造(㈱))

今回のイチオシ事例は

 

昭和35年に木工機部品の鋳物製造事業者として創業し、
半世紀以上に亘って鋳物製造一筋に邁進してきた『丹羽鋳造株式会社』さんです。

 

皆様、こんにちは。
支援専門員の野村昌史(のむらまさふみ)です。

 

 

今回は、創業から60年以上に亘って鋳物一筋で技術を磨き、お客様からの難しい要求にも“ノー”と言わないことをモットーに、難しいことに挑戦し続けてきた鋳物製造企業を紹介させて頂きます。

 

丹羽鋳造株式会社の歴史

 

昭和35年 岐阜市に『合資会社丹羽鋳造所』を創設し、木工機部品の鋳物の製造を始める
昭和39年 『丹羽鋳造株式会社』に名称・組織を変更
昭和44年 新工場増設 ジョルトマシン・水冷キュポラを新設
昭和63年 代表取締役に丹羽 龍(現取締役会長)が就任
平成7年  高周波電気炉2基を導入
平成18年 関工場の操業を開始
平成20年 本社機能を関工場へ移転
平成24年 創業の地 岐阜工場の操業を停止し、関工場へ統合
平成28年 ベトナム工場 操業開始
令和4年  代表取締役に丹羽 大が就任(ベトナム法人代表兼任)

 

当社は、62年前に木工機部品の鋳物メーカーとして創業し、現在に至るまで鋳物一筋で技術を磨いてきました。創業当時は高度経済成長期で、作れば売れる時代だったということもあり、ライバルも非常に多い業界でした。

 

鋳物部品の例

 

その後、木工機業界が縮小していくことに危機感を感じ、商社と連携して下請け企業として建機や農機などの業界へ進出しました。

 

 

変化の転機となったのは、高周波電気炉を導入したこと。従来の水冷キュポラを使用した溶解と比較して溶解スピードも早く、CO2の発生も少ない方式に切り替えたことで、高強度の鋳物に対応することが出来るようになりました。

 

 

これがきっかけとなり、現在も当社の主力となっている油圧機器向けの小物鋳物を取り扱うこととなり、下請け仕事ではなくお客様と直接の取引が増えていきました。

 

 

今では油圧機器向けの小物鋳物において、国内でもトップクラスと言われるまでになりました。

 

 

また、この時期から、同業他社がやりたがらない『中子』がある製品にあえて特化し、単なる工賃仕事ではなく高付加価値商品化を積極的に進めていった結果、早い段階で利益が出る体質づくりが出来ました。

 

中子製品の例

 

『難しい要求にノーと言わない』

『難しいからこそ挑戦しがいがある』

 

 

こういった姿勢で、お客様からの多様で高度な要求に応え続けてきたことが、当社の歴史を支えてきたと考えています。

 

企業紹介動画

 

持続可能な発展を遂げるために

外注で製作していた試作主型

 

当社は2008年のリーマンショック後、2010年以降は売上高も社員数も右肩上がりで増加してきました。しかし、受注量が増加し続ける中で型や鋳造の外注比率が増加したことが原因となり、納期面でお客様の要望に応えられない状況が発生していました。

 

また、当社の主力である油圧機器用の鋳物製品は複雑化が進んでおり、加工難易度の高い製品が増えたため、不良率も高止まり状態が続いていました。

 

 

さらに、各製品の歩留まりについても高強度鋳物に特化したこと、増加する受注に追われて十分な対策が打てていないこと、勤続年数の少ない社員の増加で技術力が低下していることなどが起因して、悪化していました。

 

 

これまで、お客様からの難しい要求に応え続けることで成長してきた当社が、将来に亘って持続可能な発展を遂げるためにはこれらの『納期の長期化』『高い不良率』『低い歩留まり』といった問題を解消する必要がありました。

 

 

これらの問題を解消し持続可能な発展を実現するため、外注化率が高くなっていた『試作主型』の内製化に挑戦することになりました。

 

“リードタイム1/2”の実現に向けて

 

 

当社はこれまで同業他社がやりたがらないような製品に特化し、お客様からの難しい要望に100%応えることで成長してきました。前述のとおり、当社が今後も成長・発展を続けていくためには、すでに発生している問題を解消し、特に納期の面においてこれまでのリードタイムを1/2まで短縮し、お客様の要望を満たすことが求められていました。これを実現するための課題が以下の3点です。

 

 

【課題】

◆試作主型の内製化による試作品製作時間の短縮

◆データの蓄積による型ノウハウの習得

◆歩留まりの良い型設計の実現

 

 

試作品を製作するために使用する試作主型の多くを外注先の型製作会社に依存していたため、試作主型製作に係る時間を外注先の繁閑に左右されていました。この状況を打開するためには、自社で試作主型を製作し、納期を他社に左右されない体制を構築する必要がありました。

 

 

また、外注に試作主型の製作を依頼している状態では、型製作に関するノウハウが蓄積されず、不良が発生した際に、原因の特定に時間がかかるだけでなく、不良発生を抑えるための十分な対策が行えない状態でした。

 

 

さらに、不良が発生した場合には、型の方案変更を行う必要があるが、外注に依頼するとより多くの時間が必要となるため、安全面を優先して歩留まりの悪い型設計をせざるを得ない状態でした。

 

 

これらの課題を解消し、お客様からの要望に対応するため、平成30年度補正ものづくり補助金を活用して以下の設備を導入しました。

 

 

🔷Polyjet方式 3Dプリンター AGILISTA-3200🔷

 

インクジェット方式を採用した高精細造形が可能。積層厚が、0.014mm~0.015mmのPolyjet方式で、3次元CAD上の設計どおりの型を短時間で造形する精度があります。また国産メーカーのため、充実したサポートやサービスが受けられる。

 

取組の成果

 

今回の取組みで、試作主型製作用にPolyjet方式 3Dプリンターを導入したことで、もともと外注先に製作の多くを依存していた試作主型の製作を内製化し、試作品の生産リードタイムを大幅に短縮することに成功しました。

 

 

当社の設計者が設計した図面に基づいて、導入した3Dプリンターでパーツを造形し、試作主型の製作を行った結果、1か月半以上の期間を要していた試作品の生産が2週間強まで短縮されました。

 

 

また、試作主型を製作する際に投入したデータを社内ネットワークに保存して業務手順書と共に供覧したことで、型ノウハウの蓄積・共有が可能な体制を構築することが出来ました。

 

 

さらに、実際に生産した試作品について、歩留まり率を測定したところ従来比5%以上の改善を実現することが出来ました。

 

 

今回の取組みによって、当社が抱えていた問題を解決するための各種課題が全て解消され、目的としていた”1/2のリードタイム”を実現することが出来ました。

 

 

これにより、お客様の要望に100%応え、持続可能な発展を継続していくための生産体制を構築することが出来たと考えています。

 

丹羽鋳造のこれから

代表取締役 丹羽 大 氏

 

今回の取り組みによって、当社の歴史を支えてきた「お客様からの多様で高度な要求」に応えられる体制を構築することが出来ました。

 

 

鋳造一筋で培ってきた技術力に最新設備を掛け合わせることで、設計から製作に至るまでをワンストップで対応し、試作品であっても短納期で対応するといった他社には真似することができない強みを獲得することが出来ました。この強みを活かすことで、これからも当社を選んで頂けるお客様の要望に応え、成長し続ける「持続可能な企業」に近づくことが出来たと実感しています。

 

 

また当社は、以前より変動要因の多い鋳造を出来るだけ標準化したいという想いをもって、社員全員にパソコンを配布して生産情報を入力することで生産の可視化に努めるなど、IT化への取組にも力を入れています。

 

 

この取り組みが評価され、2016年には「IT経営実践認定」を取得し、2018年には「はばたく中小企業・小規模事業者300」にも選ばれています。

 

取組みを通じて獲得した各種認証(一

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/2018/seisan054_niwachuzo.pdf

 

 

現在はこの取り組みを進化させ、IoTセンサーを活用した生産管理に力を入れています。

 

 

当社は2022年5月より丹羽 大 氏が代表取締役に就任し、新たな体制でのスタートを切ったばかりです。

 

 

現在110名体制となったベトナム工場を0から作り上げてきた丹羽 大 氏からは、
『ベトナムと国内に生産拠点を有しているという強みを活かして、社内の人材も切磋琢磨しながら成長していける企業を創っていきたい』と抱負を語って頂きました。

 

 

丹羽 大 氏は、一人一人を大切にしていくという想いと覚悟を持って、代表取締役就任前には国内の社員180名全員と面談を実施しました。

 

 

社員を大切に考える丹羽社長が、タイ工場の110名と国内180名の社員と共に創り上げていく新しい丹羽鋳造が楽しみです。

 

 

難しい要求にノーと言わない。
難しいからこそ挑戦しがいがある。

 

当社はこれからもこの姿勢を貫いて、会社一丸となって挑戦を続け、お客様からの多様で高度な要求に応えていきます。

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