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中小企業のM&A(4) M&Aの取り進め方
支援専門員の矢橋 敬(やばし たかし)です。
月1回・全6回シリーズで、私が過去に金融機関(銀行・証券)、監査法人系コンサルティング
会社、外資系投資ファンドなどに勤務して経験してきたM&Aや事業再生に関する業務経験
に基づいて、「中小企業のM&A」について思うところを連載しています。
このシリーズは、積極的に事業の成長や経営資源の確保を進めている事業会社の経営者の皆様を
主な読者として想定しているため、買手側に軸足を置いて書いています。
第4回目の今回は、M&Aの全般的な取り進め方(プロセス)と売手/買手探しについてです。
M&Aのプロセス
つまり、何をどのような順番でしてM&Aを行っていくのか、
を一覧化すると次の図表の通りです。
場合によって省略されたり、追加されたり、順番が変わったりする事項もありますが、
だいたいこんな感じであり、必須事項は赤い太字にしてあります。
何だかごちゃごちゃしてやることが多そう…と思われた方もいるでしょう。
が、中小企業のM&Aでは、会計/税務/法務/労務デューデリジェンス(*)以外は
自分で直接行っている経営者もいます。
最近は特に、M&Aマッチングサイトで売手/買手探しが可能になったため、
士業専門家(弁護士、税理士、会計士、社会保険労務士、司法書士など)しか判断や
対策ができないこと以外は、
・売買相手および金融機関などの利害関係者と上手く交渉して
・士業専門家および自社の従業員などを上手く指揮して
経営者が自らクロージングまで持っていくことが以前に比べて容易になっています。
*:会計/税務/法務/労務などについて適正かどうかを調査すること
ではその
M&Aマッチングサイト
にはどのようなものがあるのでしょうか?
「M&A マッチングサイト」と検索すると多くのマッチングサイトが表示され、ウェブサイト
を見ると各社が大いに自社の強みをアピールしています。
ここではその中で、公的機関である「事業引継ぎ支援センター」と連携している3社である、
トランビ、バトンズおよびビズリーチ・サクシードの概要を一例として一覧化しました。
各社がユーザー数と案件数などを競って、機能、契約形態、手数料体系などに様々な工夫を
していると見受けられます。
また、M&Aマッチングサイトは、アドバイザー/仲介や士業専門家など紹介を通じて、M&Aの
プロセスもサポートする機能も持っているため、「M&Aプラットフォーマー」と呼ばれる
ことがあります。
<出所:経済産業省 2020年10月1日 ニュースリリース>
とはいえ、これだけのプロセスを、経営者としての既存の仕事をしながら、十分な知見と
ノウハウを持って、良い条件で、ミスなく、スムーズに取り進めていくことは容易ではない…
という場合には、
アドバイザー/仲介を利用することも選択肢です。
M&Aにおけるアドバイザー/仲介
が何をしてくれるのか?
ということは、各アドバイザー/仲介ごとに特性によって多少の違いがあるのですが、
フルにサポートする場合の内容を大きくまとめると、
・M&A戦略の策定および売手/買手探索および打診(マッチング)
・M&Aの全プロセスについて、売手/買手が意思決定と実行を行うための
-情報の整理や管理/分析および資料/書面の作成
-情報/意思の伝達および交渉のための助言
-すべきことを最適なタイミングで行うためのスケジュール管理/調整
・必要に応じての士業専門家などへの依頼およびそれらとの協働
といったところです。
では、それは誰がやっているのか?
ということを次の図表で一覧化してみました。
M&Aアドバイザー/仲介専業の会社やコンサルタント、経営コンサルティング会社、金融機関、
士業専門家(対応していない場合もあり)、事業引継ぎ支援センターなどの公的機関があり、
先述した通り、マッチングサイトにアドバイザー紹介機能がある場合もあります。
M&Aは、売手/買手や取り進め方が多様性に富んでいて、プロセスが多く、専門的な知見や機能
が必要な場面が多くあるため、
アドバイザー/仲介各社は、規模や機能によって住み分けつつ、必要に応じて分業/連携している
といえます。
(例:マッチングサイト・アドバイザー/仲介間の顧客紹介、マッチング機能利用)
さて、次回以降はM&Aの取引価格やスキームなどについてご紹介する予定です。
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