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ISO14001のポイント~環境側面とは?~

こんにちは。支援専門員の小寺 弘剛(こでら ひろたけ)です。

 

ISOコンサルタント/ISO審査員として活動してきた経験を基に、

 

ISO(マネジメントシステム)についての考えを連載させて頂いております。

 

 

ISOの新規認証取得をお考えの事業者様はもちろん、

 

認証取得から長い期間が経ち、活動の形骸化やモチベーション低下に悩んでいる

 

事業者様にも振り返って頂きたい内容です。

 

 

今回から、各マネジメントシステムの特徴と構築のポイントを解説していきます。

 

第三回目の今回は、「ISO14001のポイント」をテーマに掲載させて頂きます。

 

ISO14001の概要に加えて、ISO14001で最も重要なポイントである

 

「環境側面」について解説させて頂きます。

 

 

※過去の連載記事は、コチラからどうぞ。

第一回:ISOマネジメントシステムとは?

第二回:ISOの規格要求事項とは?

 

その他、ISOや経営管理手法に関する

掲載記事は、コチラからどうぞ。

 

 

ISO14001とは?

ISO14001とは、環境マネジメントシステム

 

(EMS:Environmental Management System)の国際規格である。

 

 

環境マネジメントシステム(以下、EMS)とは、

 

企業の活動が環境に与える悪影響(環境負荷)を低減するとともに、

 

積極的な環境保全活動を推進するための経営管理の仕組みのことである。

 

 

ISO14001の主な目的は、以下の2つである。

 

①EMS構築のための国際的なガイドラインを示すこと。

 

②認証制度を通じて、組織がEMSの構築・運用を行っていることを保証すること。

 

 

 

 

ISO14001の規格構成

ISO14001の規格要求事項の構成は、以下の通りである。

 

 

太字部分がISO14001独自の部分である。

 

それ以外は、他のISOマネジメントシステム(ISO9001など)と共通である。

 

 

ISO14001(EMS)も他のマネジメントシステムと同様、

 

PDCAサイクルの考え方で構成されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ISO14001の特徴

ISO14001において、最も大きなウェイトを占めているのが、

 

「6.1.2 環境側面」である。

 

 

ここで、「環境側面」とは、

 

企業活動のうち、環境に影響を与える要素のことである。

 

 

例えば、「石油燃料を使用している」「有害物質を排出している」などが、

 

「環境側面」にあたる。

 

 

ISO14001では、企業の活動の中の「環境側面」を抽出した上で、

 

環境保護に関する目標の設定や具体的な取り組み内容を

 

決定するよう求められている。

 

 

目標や取り組みの前提である「環境側面」の抽出や分析が不十分であると、

 

EMS全体が台無しになる。

 

 

そのため、「環境側面」の設定は、EMS構築の最大のポイントであるといえる。

 

 

そこで次項から、「環境側面」抽出方法について、いくつかのポイントを解説する。

 

 

 

 

 

 

 

“有益な”環境側面と“有害な”環境側面

自社の事業活動が環境に影響を与える要素である環境側面には、

 

プラスの要素とマイナスの要素がある。

 

 

プラスの要素を“有益な”環境側面、マイナスの要素を“有害な”環境側面と呼ぶ。

 

 

環境側面抽出の際には、一般的に、「化石燃料の使用」「有害物質の排出」など

 

“有害な”環境側面が抽出されることが多い。

 

 

 

 

ここで、EMS成功のポイントは、

 

プラスの要素である“有益な”環境側面も、

 

しっかりと抽出することである。

 

 

EMSの目標の代表的なものに、「紙の使用量削減」「電気使用量削減」

 

「ゴミの排出量削減」というものがある。

 

 

これらの目標は、どのような業種・業務でも取り組み可能であるため、

 

多くの企業で取り組まれている。

 

 

しかしながら、“有害な”環境側面から導き出される

 

「〇〇削減」という目標には、取り組みの限度がある。

 

初年度こそ成果が表れても、年を追うごとに、削減の余地は小さくなる。

 

 

また、そもそも企業活動を抑制した方が達成しやすくなる目標であるので、

 

ネガティブで、取り組むモチベーションを維持しにくい。

 

 

プラスの要素である“有益な”環境側面をしっかりと抽出することで、

 

ポジティブな取り組みが可能となる。

 

設計活動や購買活動など、自社の積極的な事業活動の中で、

 

工夫や取り組みを行うことで、

 

自社のEMSの取り組みの充実やEMSへのモチベーション向上につながる。

 

 

 

 

ライフサイクルアセスメント

「6.1.2 環境側面」では、環境側面を決定する際には、

 

「ライフサイクルの視点を考慮」するように求めている。

 

 

「ライフサイクルの視点を考慮する」とは、

 

原材料の取得から最終廃棄まで、

 

自社の製品(サービス)がたどる全ての経路を考慮するということであり、

 

ライフサイクルアセスメント(LCA)と呼ばれる。

 

 

これはつまり、自社の事業活動の範囲だけでなく、

 

原材料を提供する仕入先や、

 

自社の製品を使用および廃棄する顧客の活動まで

 

考慮する必要があるということである。

 

 

ここで、自社の事業活動の範囲内にあり、

 

自社が直接管理できる要素を、“管理できる”環境側面と呼ぶ。

 

 

それに対して、外部提供者(仕入先、外注先)や

 

顧客(販売先、最終消費者)の活動範囲であり、

 

自社の影響が間接的な要素を、“影響を及ぼすことができる”環境側面と呼ぶ。

 

 

 

 

ここで、EMS成功のポイントは、

 

間接要素である“影響を及ぼすことができる”環境側面

 

しっかりと抽出することである。

 

 

もちろん、直接的要素である“管理できる”環境側面

 

重要であることは言うまでもない。

 

しかし、“影響を及ぼすことができる”環境側面の抽出が

 

十分に行われていないケースが散見される。

 

 

“影響を及ぼすことができる”環境側面もしっかり抽出できていれば、

 

「顧客が廃棄時に分別しやすいような製品設計を行う」

 

「環境保全活動に積極的な企業から原料を購入する」など、

 

より大きな視点で、目標の設定や取り組み内容の決定を行えるようになり、

 

自社のEMSの取り組みが充実する。

 

 

 

今回の内容はいかがでしたでしょうか?

 

今回は、環境側面の抽出ポイントのみに止まり、

もう一つの重要ポイントである著しい環境側面の決定については、

記載できませんでした。

 

 

そのあたりについて、知りたいという方がいらっしゃいましたら、

お気軽にG-Club事務局までお問合せ下さい。

 

その他、今回記載内容に関するお問い合わせもお待ちしております。

 

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