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再発防止の進め方②~原因分析編~

今回のG-Clubラーニングは、

 

「再発防止の進め方②~原因分析編~」をテーマに、

 

支援専門員の小寺弘剛(こでら ひろたけ)がお送りいたします。

 

 

問題(ミス、トラブル、事故、不良など)の再発は、

 

顧客からの信頼低下や業務効率低下の大きな原因となります。

 

 

そこで前回から引き続き、

 

問題再発防止のポイントについて考えます。

 

(前回記事はコチラ⇒再発防止のポイント①~再発防止のステップ~

 

 

二回目の今回は、「原因分析編」と題しまして、

 

再発防止の要となる原因分析の方法について考えます。

 

 

応急的な問題対処にとどまらず、

 

問題の根本的な原因を発見し、取り除く活動を行っているかが、

 

問題を繰り返す組織と繰り返さない組織の大きな差です。

 

 

 

※過去の関連記事は、コチラからどうぞ。

 

 
 

・QC工程表のつくり方と活用法~活用編~

 

・業務改善の進め方~七つのムダを撲滅しよう~

 

・再発防止のポイント①~再発防止のステップ~

 

 

・ISO内部監査のポイント①~マインド編~

 
 
 

その他、ISOや経営管理手法に関する

 

掲載記事は、コチラからどうぞ。

 

 

原因の種類

問題(ミス、トラブル、事故、不良など)を

 

発生される原因には、いくつかの種類があります。

 

 

ここでは、「直接原因と根本原因」、「発生原因と流出原因」

 

という二つの切り口を紹介します。

 

 

原因の切り口①:直接原因と根本原因

「直接原因」とは、問題発生の直接的な原因です。

 

例えば、材料の取り間違いや、記入欄の見落としなどです。

 

 

「根本原因」は、問題や直接原因に至る根本的な原因です。

 

直接原因を分析し、深堀りしていくことで、発見できます。

 

 

上記の例では、取り間違いやすい棚の表示や、見落としやすい記入欄など、

 

あるいは、そのような状態が放置される組織のルールや習慣などが

 

「根本原因」として発見されます。

 

 

一般的に、「直接原因」は、ヒューマンエラー(不注意や勘違いなど)が多く挙げられ、

 

「根本原因」は、経営管理方法(仕組み、マネジメントシステム)が多く挙げられます。

 

 

 

一つの「根本原因」を発見し、取り除くことで、

 

多くの「直接原因」の発生を同時に抑制することができます。

 

結果として、問題の再発や類似の問題の予防に、

 

大きな効果を発揮します。

 

 

 

原因の切り口②:発生原因と流出原因

「発生原因」とは、問題が発生した原因です。

 

「流出原因」とは、問題が発見されず、

 

顧客などの外部に流出した原因です。

 

 

 

例えば、

 

不良が発生したから、最終検査の工程を増やそう!

 

二重チェック、三重チェックを行おう!

 

ということがよく聞かれます。

 

これは、「流出原因」への対策です。

 

 

しかし、この対策で、

 

不良の発生そのものが減ることはありません。

 

当然と言えば当然のことです。

 

 

しかし、「流出原因」対策に終始し、

 

「発生原因」対策が十分に行われていない

 

という組織をよく見かけます。

 

 

一般的に「発生原因」に対策を行う方が、

 

再発防止効果が高いと言われています。

 

また、業務効率やコストの面でも、

 

有利となることが多いです。

 

 

「発生原因」「流出原因」ともに、分析や対策が必要ですが、

 

「発生原因」を忘れないように、意識しましょう。

 

 

原因分析手法

是正処置の有効性を高め、再発防止を実現するためには、

 

問題の根本的な原因をつきとめて、その原因を取り除く必要があります。

 

 

原因分析には、いくつかの手法があり、

 

ここでは、「なぜなぜ分析」と「特性要因図」を紹介します。

 

「なぜなぜ分析」には、原因を多層的に深堀りできるというメリットがあり、

 

「特性要因図」には、原因を多面的に広く捉えられるというメリットがあります。

 

 

原因分析手法①:なぜなぜ分析

なぜなぜ分析とは、一つの問題に対して「なぜ、なぜ・・・・」

 

と複数回繰り返すことにより、

 

原因を深堀りし、根本原因へと到達する手法です。

 

 

表面的な原因(担当者個人、ヒューマンエラー)から、

 

技術的な原因(生産方法や手順)、

 

経営管理の原因(仕組み、マネジメントシステム)

 

へと深堀りしていくのが一般的です。

 

 

 

 

以下は、「A部品において、顧客から寸法不良の指摘があった」

 

場合のなぜなぜ分析の例です。

 

まず、「なぜ1」では、「検査機器(ノギス)に異常があった」

ことが発見されています。

 

この原因に対する処置は、同ノギスで検査した部品の回収や

再検査など、いわゆる応急処置です。

 

 

 

次に、「なぜ2」では、「ノギスの校正が行われていなかった」

ことが発見されています。

 

この原因に対する処置は、同ノギスの調整や校正、

交換となり、これも応急処置の範囲でしょう。

 

 

 

さらに、「なぜ3」に進むと、「ノギスの校正頻度が

定められていなかった」ことが発見されます。

 

この原因に対する処置は、ノギスの校正頻度を定めるなどとなります。

発生原因そのものに対する処置(是正処置)と言えます。

 

 

 

さらに、「なぜ4」では、「ノギスを含む検査機器の

校正ルールが定められていなかった」ことが発見されています。

 

この原因に対する処置は、ノギス以外を含む検査機器全体の

校正頻度のルールの決定や見直しなどの取り組みとなります。

 

A部品やノギス以外の類似の領域にも対策を広げる活動であり、

水平展開であると言えます。

 

 

 

以上のように、なぜなぜ分析を行うことで、

 

表面的・個別的な原因から、

 

会社全体の管理体制やルールなど、

 

より広く根本的な原因へと考えを深めることができます。

 

 

 

 

原因分析手法②:特性要因図

特性要因図とは、発生した問題(結果)と

 

それに影響を及ぼしていると考えられる要因(=原因)を

 

魚の骨のような図にまとめたものであり、フィッシュボーン図とも呼ばれます。

 

 

 

問題の原因をいくつかの類型(4M、5Mなど)に分類して整理することで、

 

特定の種類の原因への偏りを防ぎ、原因を漏れなく捉えることができます。

 

 

 

 

以下は、「X製品における不良の増加」の原因について、

 

5M(Material,Machine,Man,Method,Measure)を用いて、

 

特性要因図で分析した例です。

 

 

 

 

「材料(Material)」の面では、

材料仕入先の変更があったことが発見されています。

 

材料仕入先の変更により、材料の品質や物性に変化が無かったのか?

などを検証していきます。

 

 

「設備(Machine)」の面では、

設備のメンテナンス不足が発見されています。

 

当該設備の日常点検や定期点検のルールは定められていたか?

点検頻度などルールは適切であったか?

ルールが遵守されていたか?などを検証していきます。

 

 

「作業者(Man)」の面では、

最近、熟練の作業者の退職があったことが発見されています。

 

後任の作業者に引き継ぎが適切に行われていたか?

後任作業者の教育訓練が十分に行われていたか?などを検証していきます。

 

 

「方法(Method)」の面では、手順書が形骸化していることが発見されました。

 

手順書の内容が適切に更新されていたか?

作業者は手順書の存在を知ってたか?

あるいは、存在は知っていたが意図的に守らなかったのか?

などを検証していきます。

 

 

「評価基準(Measure)」の面では、最近、業務効率化の観点から、

サンプリング頻度の変更を行ったことが発見されました。

 

新たなサンプリング頻度をどのように決めたか?

そのサンプリング頻度は適切であったか?などを検証してきます。

 

 

 

 

以上のように、特性要因図を用いることで、

 

一つの問題に対して、多面的に原因を分析することができます。

 

 

 

特性要因図では、まず多面的に広く原因を探り、

 

一定の仮設を立てた上で、現場で真実を確認・検証を行いながら、

 

それぞれの原因(大骨)をさらに深堀り(中骨→小骨→孫骨)していきます。

 

 

 

 

 

 

今回の内容はいかがでしたでしょうか?

 

職場でミスやトラブルが発生すると

 

「不注意が原因です。次回から気をつけます!」

 

のような原因(?)や対策(?)が、よく聞かれます。

 

 

しかし、不注意は誰にでも起こることです。

 

不注意が起きた原因を、

 

個人の資質として片付けてはいけません。

 

 

組織のルールや職場環境など、

 

ミス・トラブルの引き金となった原因を分析し、

 

経営管理面や技術面から根本原因を取り除く。

 

 

こういう活動を繰り返し、

 

習慣として組織に定着させることで、

 

誰もが問題を発生させにくい

 

強固な組織をつくることが可能となります。

 

 

 

ますは、身近で発生した問題について、

 

「なぜなぜ分析」や「特性要因図」を用いて、

 

原因分析を行ってみては、いかがでしょうか?

 

 

 

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