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SDGsの取り組み方
今回のG-Clubラーニングは、「SDGsの取り組み方」をテーマに、
支援専門員の小寺弘剛(こでら ひろたけ)がお送りいたします。
最近、SDGsがメディアなどで、
取り上げられる機会が多くなってきました。
SDGs自体は、2015年9月には、
既に、国連サミットで採択されていました。
しかし、メディアなど注目度の向上とともに、
最近になって、中小事業者様においても、
取り組みを始める例が急増しています。
そこで、今回は、
はじめてSDGsに取り組む中小事業者様向けに、
4ステップで取り組み方を解説致します。
※過去の関連記事は、コチラからどうぞ。
その他、ISOや経営管理手法に関する
掲載記事は、コチラからどうぞ。
ステップ1:自社の“存在意義”を再確認する
SDGsの取り組みを考える前に、
まずは、自社の“存在意義”を再確認しましょう。
SDGsを普段の事業活動とは直接関係のない
寄付やボランティアのような活動として
捉えている企業さんを、時々見かけます。
しかし、そもそも、あらゆる企業は、
社会に対して何らかの貢献をするために存在しています。
その存在意義を、経営理念や経営方針として、
明文化している企業さんも多いことでしょう。
SDGsの活動は、個別に存在しているわけでなく、
元々の自社の存在意義や事業活動の
延長線上にあるものと捉えましょう。
また、収益を生むことも企業の重要な存在意義です。
収益を度外視したようなSDGsの取り組みは長続きしません。
事業活動が社会に貢献し、それにより収益を得ている以上、
SDGsの活動は、収益活動ともリンクさせる必要があります。
SDGsに取り組む前に、自社の存在意義(経営理念など)。
そして、それを実現するための事業計画(収益計画など)など
を再度整理してみましょう。
それらとSDGsの活動を関連づけることが、
活動成功のための第一ステップです。
ステップ2:課題を明確化する
自社の“存在意義”を再確認できたら、
自社におけるSDGs達成のための
優先課題を明確にしましょう。
SDGsには、17の目標(Goals)が設定されており、
全ての目標への貢献をズラリと並べている
企業ホームページを、最近よく見かけます。
しかし、特に、経営資源の限られている中小企業において、
全ての目標に取り組もうとするのは、効果的とは言えません。
自社の事業活動や製品・技術が、
社会(自然環境、人権、健康福祉など)に
与えている影響(好影響・悪影響)を明確にし、
最も影響を与えている分野に、集中して取り組みましょう。
まずは、自社内の業務プロセス(工程、活動)を洗い出し、
各々のプロセスが、社会に対して、
どのような影響を与えてるのかを洗い出してみましょう。
・自社の営業活動が、社会に与えている影響は?
・自社の製造活動が、社会に与えている影響は?
など、自社の活動を分解して、社会への影響を考えます。
ISO9001認証企業であれば、
「プロセスアプローチ」などの考え方が参考になります。
また、社外の利害関係者の活動も見逃してはいけません。
・原材料の仕入先が、社会に与えている影響は?
・自社製品の輸送・流通業者が、社会に与えている影響は?
・自社の製品を使用する最終消費者が、社会に与えている影響は?
など、利害関係者別に分解して、社会への影響を考えます。
ISO14001認証企業であれば、「環境影響度評価」が参考になります。
例えば、自社が使用している原材料が、
環境破壊的な活動や、
児童労働など非人道的な労働環境で
生み出されたものでないか?
は、重要なチェックポイントです。
フェアトレード原料の使用や環境配慮型原料の使用などは、
最近では、最終消費者の重要な選択基準ともなっており、
自社の売上高拡大の面でもメリットがあります。
また、商品設計において、輸送しやすい工夫をしたり、
分別廃棄しやすい工夫をしたり、することは、
輸送業者や最終消費者にも喜ばれるとともに、
SDGsの達成にも貢献できます。
以上のような視点から、自社および利害関係者の活動のうち、
社会に対して与えている影響が大きい分野を絞り出し、
SDGs取り組みの優先課題として設定しましょう。
ステップ3:目標を設定する
SDGsは、17の目標、目標に紐付いた169のターゲット、
さらにそのターゲットに紐付いた232の評価指標
の三層構造で構成されています。
目標からターゲット、評価指標と下層になるごとに、具体的になります。
しかし、それでも、一企業が取り組むには、大きすぎるテーマです。
そのため、自社独自の取り組み目標を設定することが必要不可欠です。
上記で明確にした自社の現状(事業活動の社会への影響)と、
SDGs(17の目標、169のターゲット、232の評価指標)
の両面から、自社独自の活動目標を検討します。
自社の目標は、自社の現状とSDGsとを
つなぐ架け橋としての役割を果たします。
目標設定にあたっては、以下の事項を明確にしましょう。
・実施内容および期待効果
・実施責任者および実施メンバー
・目標達成期限
・進捗度および達成度の評価方法
この中で忘れがちなのが、「進捗度・達成度の評価方法」です。
目標設定時には、達成意欲が高くとも、評価方法が明確になっていないと、
いつの間にか活動が忘れられてしまうということになりかねません。
また、「目標達成期限」までの期間が長い目標については、
必ず進捗度確認方法(進捗度基準と確認時期)を設定しましょう。
ステップ4:情報発信を行う
最後に、自社のSDGs活動や達成度に関する情報発信を積極的に行いましょう。
SDGsの17の目標の一つに、「パートナーシップで目標を達成しよう」とあるように、
連携やコミュニケーションなしにSDGsを達成することはできません。
1つ目が、組織内への情報発信です。
活動の有効性を高めるためには、経営管理層だけでなく、
全社員に活動を定着させる必要があります。
その際、特に重要なのが
トップ自らが、活動の“意義”を丁寧に説明することです。
また、日常的な業務指示や人事評価などとも
一貫性を持たせることで、トップの本気度が伝わります。
2つ目が、組織外への情報発信です。
例えば、以下のような利害関係者が
情報発信の対象として考えられます。
・顧客(直接取引先、最終消費者)
・仕入先、外注先
・労働市場(学生、求職者)
・投資家(金融機関、個人投資家)
・行政機関
「エシカル消費」や「エシカル就活」、「ESG投資」という言葉が、
注目されるなど、社会に貢献する企業を応援したいという
消費者や労働者、投資家が多くなっています。
組織外に自社の取り組みをPRすることで、
SDGs実現の強力なパートナーを得られるチャンスが増加します。
今回の内容は、いかがでしたでしょうか?
SDGs活動を成功させるための一番のポイントは、
自社の既存の経営理念や事業計画、事業活動と、
関連づけ、統合させることです。
本記事を参考に、自社の社会への貢献や
社会への影響を振り返るところから、
活動をはじめてみては、いかがでしょうか?
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