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ミズノのバットの廃材でつくる木粉プラスチック(サンスリー㈱)

今週のイチオシ事例は、2007年(平成19年)に親会社である株式会社川瀬樹脂工業(本社

大垣市)から自社ブランド製品部門の移管を受けて以来、ハンガーやOAフロア床材等を製造

しているサンスリー株式会社です。

前回執筆したイチオシ事例「岐阜県産の間伐材の利用拡大に取り組む木材加工会社」を書い

てから、岐阜県が持つ森林資源の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

での活用に興味を持った支援専門員の矢橋がその現場を取材してきました。

 

 

 

 

岐阜県の県土の80%は森林

 

ということは、前回イチオシ事例「岐阜県産の間伐材の利用拡大に取り組む木材加工会社

にてご紹介した通りですが、岐阜県が豊富に持つ森林資源を活用して成長できる産業は

林業や木材加工業だけではありません。

 

2021年6月18日に経済産業省が公表した

 

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

 

には、全部で14分野の成長戦略が描かれていて、その中の一つに「⑬資源循環関連産業

があります。

 

<2021年6月18日 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 p87>

 

 

化石資源由来のプラスチックからバイオマスプラスチックへの代替を促進することも

具体的な目標となっていて、グリーン成長戦略に先立つ2021年1月に

 

バイオプラスチック導入ロードマップ

 

が策定されています。

 

<バイオプラスチック導入ロードマップの概要>

 

 

このようにカーボンニュートラルが産業界の一大テーマになる以前の

2015年頃に、すでに当社は

 

非化石資源由来成分97%で生分解性がある木粉プラスチック

 

を開発していました。

 

そもそも「バイオプラスチック」とは、下図のように定義されていて、当社が開発

したプラスチックは、木粉51%およびサトウキビ由来ポリエチレン(バイオPE)46%、

つまり非化石資源由来成分97%からなる、生分解性を持つバイオプラスチックです。

 

製品としては、

バイオプラスチックの素材ならびにハンガーや皿や植木鉢などの成形製品です。

 

<当社の各種バイオプラスチック成型製品>

 

 

当時の当社の意識としては、プラスチックゴミ問題の解決方法の提供という意識で開発

に取り組んでいましたが、当社と親会社の代表取締役の川瀬忠雄氏いわく、

 

植物由来の素材を使うことは、1969年(昭和44年)の

 

創業時は竹で編んだカゴを製造していた親会社のDNA

 

だということです。

 

 

 

さて、製造業共通の流れですが、製品開発の次は量産体制の確立が課題になりました。

 

 

そこで当社は

 

平成30年度補正ものづくり補助金を活用

 

してバイオプラスチック素材の量産体制を築き上げました。

 

導入した機械と効果は工程の順に以下の通りです。

 

1.粉砕機

材料の木材を粉砕して100ミクロン以下の微粒子の木粉にすることにより水分含有量を低減して

品質を向上させました。

<左:粉砕機 右:微粒子化した木粉>

 

2.フードミキサー

微粒子化した木粉を乾燥させてサトウキビ由来ポリエチレンなどと混ぜ合わせる(混錬)

装置であり、乾燥/混錬工程のスピードアップと混錬後の素材の成分をより均質化しました。

3.ホットカット装置

混錬した素材を加熱してところてん式に押し出した直後にカットしてペレット状にする

装置であり、カットを確実かつ不具合なく行えるようになりました。

<左:フードミキサー  右:ホットカット装置>

 

4.脱気インパルスシーラー

ペレット状のバイオプラスチック素材を真空パックする装置であり、湿気を排除して

劣化を防ぐ形で納品することが可能になりました。

 

<ペレット状のバイオプラスチック素材>

 

<左:脱気インパルスシーラー  右:袋詰め後パック前のバイオプラスチック素材>

 

 

 

ところで、プロ野球の強打者がこぞって使っている

 

ミズノのバット

 

は岐阜県養老郡養老町にあるミズノテクニクス株式会社の養老工場で製造されている

ことはご存知でしょうか。

 

ここで製造されているバットも岐阜県が誇る名産品の一つだと思いますが、実は、

当社のバイオプラスチックの木粉はミズノのバットの製造工程で出た廃材が原料です。

 

 

同じ廃材でも、おすそ分け感があっていいですね。

 

 

 

また当社は、香りつきのバイオプラスチック製品も開発しています。

 

例えば、

お茶やコーヒーをいれた後のお茶がらやコーヒーがらを原料に混ぜて製造した、

 

お茶やコーヒーの香りがするバイオプラスチック製品

 

も製品ラインナップにあります。

 

<お茶がらを使ったコースター等>

 

 

今後も当社では、

原料の面ではお茶がらやコーヒーがらに限らず、

機能の面では香りだけでなく生分解性を活かせる、ゴルフで使うティーのような

 

植物性廃棄物を原料にしたバイオプラスチック製品の共同開発

 

を今後も積極的に多種多様な企業と進めていく方針です。

 

 

 

 

私は今回、原点の大切さを教えていただきました。

 

 

 

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