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リサイクルタイルを通じて、循環型社会を実現((株)エクシィズ)
こんにちは。支援専門員の小寺弘剛(こでらひろたけ)です。
今回のイチオシ事例は、「株式会社 エクシィズ」さん です。
廃棄物からタイルをつくるという
新事業「ecoRevoプロジェクト」について、
新規事業開発室 室長の笠井建佑さんに、取材させて頂きました。
当社概要
(株)エクシィズさんは、オーダーメイドタイルの
企画・設計および製作を行っている会社です。
タイル・ガラス・大理石など天然素材にこだわりを持ち、
特注のモザイクアート製作も手掛けています。
(株)エクシィズさんのタイルは、個人向け住宅、飲食店などの商業施設、
学校や公園といった公共施設など幅広い建築で利用されています。
<当社タイルの施工例①(あべのハルカス近鉄本店)>
<当社タイルの施工例②(パレスホテル東京内 エビアンススパ東京)>
<当社タイルの施工例③(多治見駅北口トイレ)>
<当社タイル施工例④(十六銀行 多治見支店)>
新事業「ecoRevoプロジェクト」とは?
(株)エクシィズさんは、新規事業として、
「ecoRevoプロジェクト」に取り組んでいます。
「ecoRevoプロジェクト」では、
廃棄物を原料としたリサイクルタイル
「ecoRevoタイル」の研究開発および生産を行っています。
原料となる廃棄物の代表的なものが、溶融スラグです。
溶融スラグとは、廃棄物を溶融炉で高温溶融した際に、
最終生成されるガラス状の固形物のことです。
一般的なタイルの原料である粘土は、
鉱山から採掘される天然資源であり、
近年枯渇が問題視されています。
「ecoRevoプロジェクト」は、
廃棄物を有効活用するだけでなく、
天然資源の使用量をも削減する
環境保全プロジェクトなのです。
補助事業での取り組み
「ecoRevoタイル」開発の一番の課題は、
焼成温度でした。
溶融スラグは低い温度で焼成可能で、
焼成に使用するエネルギーの面でも、エコな原料です。
しかしながら、融点が低いため、
従来のタイルと同様の温度(1200℃前後)で焼成すると
溶けてしまいます。
当社は、企画・開発型の企業であり、
通常、他社に外注して、タイルを焼成しています。
しかし、特別に低い温度で焼成が必要な「ecoRevoタイル」は、
従来の外注先では対応できませんでした。
そこで、平成25年度補助事業では、
自社内に「ローラーハースキルン」を導入しました。
この「ローラーハースキルン」は、
一般的な焼成窯より低い800℃~1200℃で、
焼成温度を細かく設定できます。
炉内の温度もムラなく均一であり、
温度変化に敏感な溶融スラグなどの廃棄物原料でも、
高品質のタイルが生産可能となりました。
また、この「ローラーハースキルン」は、
ガスではなく電気を使用すること、
煙を二次燃焼装置で燃やすことで、
外部に煙と臭いが出るのを防げるなど、
生産プロセスにおいても環境保全にこだわっています。
<補助金で導入したローラーハースキルン>
<「ecoRevoタイル」が焼成される様子>
補助事業取り組み後の展開
補助事業終了後の2018年には、(株)エクシィズ本社の隣に、
「ecoRevoプロジェクト」専用の研究開発拠点「エクシィズラボ」を開設しました。
「エクシィズラボ」には、ミキサーや土練機(押出成形機)など、
設備を次々と新規導入しました。
これらの導入設備により、
粉砕、混練、成形、焼成など、タイルの試作に必要な全ての工程を
ワンストップ対応できるようになりました。
「エクシィズラボ」の開設後、
「ecoRevoタイル」を中心とした自社開発活動が、
飛躍的にスピードアップしています。
<「エクシィズラボ」で対応可能な主な工程>
<「エクシィズラボ」の外観>
販売成果
開発した「ecoRevoタイル」は、地元多治見市を中心に、
「多治見市立昭和小学校」や「多治見市立精華小学校付属愛児幼稚園」、
「多治見市小泉交流センター」、「多治見消防団北分団」などに納入されています。
<多治見市立昭和小学校での活用事例>
<多治見市立精華小学校付属愛児幼稚園での活用事例>
愛知県豊田市とも「ecoRevoタイル」活用プロジェクトを進めています。
具体的には、「とよた ecofull town」に豊田市の溶融スラグを使用した
「SDGsタイル」として納入しました。
<「とよた ecofull town」に納めた150角のSDGsタイル>
また、お笑いタレントであり、著作家、絵本作家としても知られる、
キングコングの西野亮廣氏監修の、
ゴミからできた心優しきゴミ人間が主人公の絵本「えんとつ町のプペル」とコラボし、
ゴミから作ったタイルのイメージアップを図るべく、ECサイトでグッズも販売中です。
販売サイトURL: https://ecorevo.base.shop/
今後の展開
今後は、「ecoRevoタイル」の量産化が課題の一つです。
(株)エクシィズさんは、あくまでタイルの企画、開発、試作をメインに行うメーカーです。
今後のさらなる量産化には、
大型の窯を持つ量産メーカーとの協業が不可欠です。
多治見市を中心とする地元美濃焼メーカーとの協業を拡大し、
リサイクルタイルを美濃焼産業の新たな成長の可能性の一つとしたい。
そして、地元産業の発展と環境保護の取り組みを両立させたい
と笠井建佑さんは、語ってくれました。
<「ecoRevoタイル」と原料の溶融スラグ(中央)>
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