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SDGsを実践する下呂の綿棒メーカー

今週のイチオシ事例は、岐阜県が誇る日本三大名泉・下呂温泉がある下呂市で

綿棒を製造しているサンリツ株式会社です。

支援専門員の矢橋が、その現場を取材してきました。

 

 

現在国内で綿棒を生産しているのは数社だけ

 

であり、その中で相応のシェアを持っている当社は、日本有数の綿棒メーカー

です。

 

岐阜県飛騨地方に豊富にあった白樺を加工して爪楊枝(つまようじ)の製造を

していた現社長の父が

 

爪楊枝の製造技術を活用して創業

 

できる次の事業として、綿棒の製造を思いたち、1963年の創業当初は、綿棒の

生産のための製造機器の開発からスタートしました。

 

<当社自社ブランド綿棒製品(200本入紙箱)>

 

以来、綿棒製造専業メーカーの草分けとして生き残り、

現在は、

OEM(外資系医薬品メーカー向け、大手流通グループ向け、コンビニ向けなど)

を主軸に、自社ブランド製品も展開しています。

 

生産は、

本社工場での国内生産のみならずフィリピンでの海外生産もしていて、

今年からは不織布マスクの生産を本社工場で開始しました。

 

 

実は綿棒は、

 

用途、形状、棒の長さなどによってとても多種多様

 

です。

用途としては、医療用、工業用、一般雑貨用に大別されます。

 

この取材をするまで私は、

医療用にはとても高い品質が求められることは想像していましたが、

工業用の綿棒があることは知りませんでした。

工業用の綿棒は、精密電子製品の仕上げなどに使われるそうです。

 

一般雑貨用はドラッグストアやコンビニなどでおなじみですが、

確かに販促のためのノベルティグッズにもなっていますね。

 

様々な形状は、

 

・雪だるま型は幼児の耳鼻ケア用

・化粧型は精密機器の組み立てや文字通り化粧品塗布用

・シャワー型はお風呂上がりやシャワーの後のケア用

・ソフトL型は病院や血液センターなどで薬剤の塗布用

・コーン型3種は精密機器の清掃組み立て用

 

と、詳細な用途に最適化するためのきめ細かい工夫です。

 

 

<ノベルティグッズの一例>

 

 

 

生産現場はとても厳しい衛生/品質管理

 

がなされています。

食品工場と同様に、耳が隠れる紙製キャップをかぶり、手を洗浄/消毒して、

エアシャワーを浴びて、やっと入室できます。

 

 

<入口:特別に撮影許可をいただきました>    <エアシャワー>

 

<原材料の綿>                     <綿を供給する工程>

 

 

さて、

・グローバルな綿棒の需要は衛生水準の向上によって伸びているものの

・ローコスト生産/安価な海外製品との競合が厳しい

という事業環境の中で当社は、

すでに、フィリピンでのローコスト生産と海外市場進出

に取り組んでいたのですが、

つぎに、圧倒的な高品質によるグローバルな医療用レベル市場に進出

しようとしました。

 

ただ、これには、

・品質面:工場内の空気の徹底的な清浄化(外から塵や虫を侵入させない)

・効率面:工場内の湿度の制御(製造機器の稼働に最適な湿度に制御する)

の課題がありました。

 

 

この課題の解決のために当社は、

 

ものづくり補助金を活用

 

しました。

具体的には、平成29年度補正ものづくり補助金により全熱交換機を設置して、

フィルタで濾過した外気を導入して工場内を陽圧化(内部の圧力を外部より

高くすること)すると同時に工場内の湿度を最適化することによって、

この2つの課題を解決したのです。

 

こうして医療用レベルの高品質製品の効率的な生産体制を確立した当社は

今後、

OEM先を含む医薬品業界の新型コロナウィルス対応が収束した段階で、

グローバルな医療用レベル市場への進出を本格化させる計画です。

 

<全熱交換機:この吹き出し口の裏にあって見えません>

<全熱交換機(一例):これが吹き出し口の裏(天井裏)に設置されています>

 

ちなみに全熱交換機とは、排気時に捨ててしまう室内の冷気/熱を給気してきた空気

に戻すことにより、換気による温度変化を抑える装置のことであり、エアコンとも

換気扇とも違う空調装置です。

 

 

 

ところで、

見出しに「SDGs」とあったけど、何それ?とか、何か綿棒と関係あるの? 

と思われたことでしょう。

 

 

SDGs

 

とは、Sustainable Development Goalsの略であり、

“持続可能な開発目標”と訳される国際目標です。2015年9月の国連サミットで、

2030年までに持続可能でよりよい世界をつくることを目指して決まった目標です。

17の目標が設定されていますが、地球環境を良くすることも、健康を維持向上

させることも、もちろん含まれます。

 

<ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)ウェブサイトより>

 

とりわけ、製造業の企業と関係が深いのは「12 つくる責任つかう責任」

であり、製品の包装フィルムを再生可能な包装紙に変更するような、

脱プラスチック化の動きが活発です。

 

 

そのようなグローバルな流れの中で、

 

当社も脱プラスチック化

 

を進めています。

 

1. 綿棒の箱の脱プラ化

 

紙製の箱を新たに自社でデザインして、意匠登録(登録番号:1658266)

しました。

 

 

<旧型:プラスチック箱入り綿棒>   <新型:紙製箱入り綿棒>

 

 

2. 紙ストロー製品の販売

 

 

 

当社の場合、SDGsと言われる前(ということは新型コロナウィルス感染拡大前)

から学校などへのマスクの寄付をしていて、SDGsの素地があったのですが、

脱プラスチック化のきっかけは、ヨーロッパでプラスチックを使った綿棒が禁止

されたことだそうです。

 

このような取り組みにより、

 

当社は岐阜県の「ぎふプラごみ削減モデルショップ」

 

に登録されました。

<岐阜県公式ウェブサイトより>

 

<岐阜県公式ウェブサイトより>

 

 

今後も当社はこうした環境に優しいものづくりに取り組んでいくのですが、

 

この紙製の綿棒の箱は、写真をよく見ると分かる通り、まだPETフィルムの包装

がついていて、完全脱プラスチック化が次なる課題の一つです。

ここをどうにかするご提案は大歓迎だそうです。どなたか、ぜひ当社と共同して

SDGsに取り組んでみませんか?

 

 

 

 

今回、

視野を広く持って、大きな流れに対応していくことの大事さを、私はここで

教えられました。

 

 

 

 

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