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世界農業遺産を支える143年企業((株)鵜舞屋)

こんにちは、支援専門員の虫鹿真司(むしかまさし)です。

 

今週のイチオシ事例は、明治10年(1877年)より長良川鵜飼の土産品として鮎加工品や佃煮惣菜を製造販売する「株式会社鵜舞屋」さんです。

 

創業から143年以上に渡って永き伝統と選び抜かれた素材を守りながら、生産工程改革やオンライン販売推進などによって革新を進める当社の取り組みをご案内します。

 

当社概要

鮎昆布巻などの鮎加工品、飛騨牛しぐれ煮などの牛肉加工品をはじめ、地域の名産品を材料とした商品を製造・販売しています。日本全国のショッピングモールや土産物店に御中元や御歳暮ギフト商品を卸している他、近年では、東南アジアを中心とした輸出事業にも取り組んでいます。(※国内の取扱店舗はこちら

 

当社の主力商品「鮎昆布巻」

 

 

世界が認める「清流 長良川の鮎」

長良川の鮎が岐阜県の名産品である事は皆様もご存じですよね。鮎釣りのシーズンになれば全国から釣り愛好家が集結しますし、県内にはたくさんの鮎料理店が存在します。ただ、単に有名なだけではないのです。

 

長良川の鮎は、日本全国で11地域のみが選ばれた「世界農業遺産」に認定されています。

 

 

※世界農業遺産とは

 

世界農業遺産は、世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度です。

(農林水産省ホームページより抜粋)

 

 

「世界的に重要かつ伝統的」という文言からもご想像いただけるように、世界農業遺産への認定は非常に重みと価値があるものであり、岐阜県もその内容を国内外にアピールしています。

 

「清流 長良川の鮎」について 

※画像をクリックすると、岐阜県庁のサイトにジャンプします。

 

 

長良川は流域に約86万人の人口を抱え、都市部を流れる川でありながら、流域の人々の暮らしの中で清流が保たれ、その清流で鮎が育っています。清流と鮎は地域の経済や歴史、食・文化と深く結びついています。こうした人の生活、水環境、漁業資源が密接に関わる里川(さとかわ)全体のシステムを「長良川システム」として捉えているのが特徴です。

 

「長良川システム」の概要

 

 

「長良川システム」において、伝統ある食や文化は非常に重要な位置付けにあり、鮎昆布巻をはじめとした当社の商品は、世界農業遺産に欠かせないものです。

 

 

補助事業の取り組みで安全性と効率性を向上

当社は、平成25年ものづくり補助金を活用し、衛生面のさらなる向上、環境負荷の軽減、生産効率の向上に取り組みました。「清流 長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されたのは、補助事業が終了して半年後の平成27年12月ですので、非常にいいタイミングでした。

 

「1本に約6時間以上手間と時間をかけ『味』にこだわり、炊き上げております。」とホームページで宣言しているように、鮎昆布巻に対する想いは並々ならぬものを感じます。こだわりの味を守りながら品質や生産性を向上させるため、補助事業では7種類の機械装置を導入して工程改善に取り組みました。

 

「こだわり」について

※画像をクリックすると、こだわりの内容、鮎昆布巻の製造方法を紹介する当社サイトにジャンプします。

 

 

工程改善の取り組みの一部を紹介します。

 

●高圧洗浄機を導入して清掃活動の改善を図る事で、洗浄効果の改善と作業時間短縮を実現。

 

高圧洗浄機による清掃の様子

 

 

●ジェットエアー式除水装置の導入によって乾燥時間短縮を実現。さらに、X線異物検査機と連動させる事で業務効率化を実現。

 

(左)ジェットエアー式除水装置 (右)X線異物検査機 作業の様子

 

工程改善の結果、使用するガス燃料削減による環境負荷軽減及びコスト削減、一部の手作業工程を機械化する事による生産所要時間短縮、雑菌排除の徹底による安全性向上を達成する事ができました。

 

現在では、取り組みの成果を活用する事により、高いレベルの味と品質を維持した上で、これまで以上に環境にやさしく効率的に鮎昆布巻の生産を行っています。

 

 

「地域未来牽引企業」に選定!

その後も事業と地域の発展に取り組みを続け、令和2年10月には「地域未来牽引企業」に選定されました。地域未来牽引企業とは、「経済産業省により選定された、地域経済の中心的な担い手となりうる事業者」であり、非常に名誉があるというだけでなく、IT導入補助金をはじめとした各種補助金で加点調整されるという分かりやすい実利もあります。

 

 

地域未来牽引企業の選定証

 

コロナに打ち勝つための取り組み

新型コロナウイルス感染症の影響により、土産物店への客足が遠のく状況が続いています。

そんな逆境を跳ね返すため、令和2年11月にホームページをリニューアルしてオンラインによる直接販売をスタートしました。

 

地域の名産品である、常温で保存が可能、賞味期限がかなり長い、詰め合わせになっていて小分けしやすいといった、ギフトや土産物向きの条件をしっかり満たした商品が揃っています。このようなラインナップを構成できるのも、老舗ならではのものです。

 

※クリックするとショッピングサイトにジャンプします。

 

他にも、令和元年ものづくり補助金を活用して新たな活動に取り組むなど、革新への道を日々歩み続けています。

 

 

「アフターコロナ」の時代が訪れた時には、伝統を基盤としながら絶えず革新を続ける当社のような企業が、地域の文化や経済を強力に牽引していくと感じました。

 

 

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