こんにちは。支援専門員の矢橋 敬（やばし たかし）です。　

　今週のイチオシ事例は、消臭・除湿を同時に行う機能性素材である「シリカクリン」（特許取得/登録商標済）を製造している羽島市のテクナード株式会社です。汎用性のある製品をもって素早く環境変化に対応する当社の現場を訪問して、代表取締役の原 真澄さんにインタビューしてきました。

当社について

　2006年（平成18年）に創業した当社は、消臭・除湿を同時に行う機能を持つ、シリカゲルを活用した布状の素材である「シリカクリン」およびそれを使用した生活雑貨製品を製造しています。とても汎用性の高い素材であるため、積極的な研究開発（R&D)によって多くの応用製品を生み出しています。

　その一つが、平成25年度のものづくり補助金による「消臭・吸湿機能素材の多用途展開や高感性化ニーズに対応した高付加価値・複合機能化技術の開発」への取り組みです。ここで当社は、シリカクリンを多様な生地に張り付けたり、それを様々な形に大量かつ正確に加工する技術を研究しました。

シリカクリンとは

　お菓子の乾燥剤などにも使われているビーズのようなつぶつぶ、シリカゲルを、不織布などではさんで布状に加工したものです。

　この「シリカクリン」は、様々な形に切って貼り付けることにより、とても汎用性の高い使い方ができる素材です。

代表的な製品

　は、靴、ふとん、衣服、ヘルメット、ごみ箱などの、消臭・除湿をするための製品です。とても汎用性の高い素材がベースであるため、製品ラインナップの中には、楽器の内部の湿度調整をするためのアイテムもあります。

当社の新型コロナウィルスへの対応

　はとても素早く、マスク不足が始まった2020年3月にはすでに、シリカクリンを使用したマスクを開発して発売開始しました。とにかくマスクがありさえすれば良いという時期に、使っていると臭いや湿気が不快になってくるマスクの課題を、シリカクリンの消臭・除湿機能によって解消した高機能マスクです。

　それだけではありません。8月には大手楽器販売店である島村楽器と「シリカクリン管楽器用マスク」を共同開発して同社の販売網で売り出しました。先述の通り当社には楽器関連の製品もあり、また、以前から同社とは取引があったため、共同開発につながったそうです。

　まだ当社の新型コロナ対応は続きます。9月には管楽器の演奏や飲み物を飲むことができる「イケマスク」を販売開始しました。

　実はまだまだ当社の新型コロナ対応は続きますが、ここには書けません。当社はPRも積極的なので、ご興味のある方は当社のウェブサイトをウォッチすることをおすすめします。

最新情報：クラウドファンディングにチャレンジ！

　そんな当社はまた、「ビジネスリュックで気になる生地のスレとキズを軽減するリュック除湿クッションパッド」を開発して、目標金額200,000円のクラウドファンディングにチャレンジしています。

　この製品は、スーツやジャケットが傷むのが嫌で、リュックを使いたいけど使っていないビジネスパーソンのために、日本製のメッシュ生地と5㎜程度の厚みの柔らかいウレタン素材に当社のシリカクリンを貼り付けたパッドです。

　これでジャケットやコートのいたみ、スレを軽減でき、さらに背中のムレも軽減できるため、安心して快適にリュックを使用して、自由になった両手でスマホの操作をしたりすることができようになりました。

今後の展開

　については、シリカクリンをカーテン、ラグ、クッション、ソファカバー、ファブリックパネルなどのファブリック（布）に加工して、部屋全体を強力に消臭・除湿できる製品「ach-de」（エチュー・ド）にも力を入れる予定です。

　また、もともとシリカクリンは自由自在な形でさまざまなものにも張り付けて消臭・除湿機能を発揮することができる、とても汎用性の高い製品であるため、島村楽器へのOEMのように、消臭・除湿機能を製品に付け加えたい事業者様の独自仕様のシリカクリンを納入したり、OEMをしたりすることは当社が得意とすることです。

　代表取締役の原 真澄さんは、今後より多くの事業者様と幅広い製品でお取引して、BtoB/高付加価値製品も充実していきたいと考えています。

ものづくり補助金で購入した機器の活用

　当社の工場では、平成25年度ものづくり補助金で購入した機器たちも、製品開発のための試作品の製造の段階から大活躍しています。

両面テープ接着・定寸裁断装置：

　シリカクリンに両面テープを圧力をかけて接着し、シリカクリンをどこにでも貼り付けられるようにして、汎用性を高めています。

加熱溶着機能付トムソン刃型油圧クリカッター：

　両面テープを圧着したシリカクリンを一定の形に正確に切り抜いていきます。

カッター型枠：

　シリカクリンマスクの型枠がこれです！

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