イチオシ事例
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職人のこだわりが生んだ至極の豆腐(株式会社 豆の匠 中島豆腐)
今回のイチオシ事例は、70年以上の歴史を誇る豆腐店
「株式会社 豆の匠 中島豆腐」さんです。
全国にファンを持つ当社の豆腐(『御豆腐』)と、
その品質の要である高濃度豆乳を抽出するプロセスについて、
代表取締役の中島昇治さんに、
支援専門員の小寺弘剛が取材させて頂きました。
当社概要
豆の匠 中島豆腐さんは、1949年創業、
70年以上の歴史を誇る豆腐店です。
元々は、いわゆる町の豆腐屋さんとして、
周辺住民や地元スーパーを中心に販売していました。
しかし、スーパーの大規模チェーン化の流れの中で、
次第に、手間をかけない低価格・大量生産の豆腐が、
求められるようになってきました。
「味のない豆腐では納得できない」という思いから、
25年ほど前から、国産大豆と天然にがりを用いた
独自の商品の開発と製造に、大きく方向転換をしました。
今では、スーパーからは撤退し、
販路を、百貨店と直販にしぼり、
こだわりの豆腐を販売しています。
当社のこだわり
豆の匠 中島豆腐さんでは、
豆腐づくりで最も重要な、
三つの基本素材(大豆、水、にがり)に
こだわりぬいています。
「大豆」については、
国産大豆、その中でも、豆腐づくりに最適な一品種、
さらに大粒に限って、使用しています。
大豆の原価にして、
輸入大豆の16倍程度
一般的な国産大豆の5倍程度ともなります。
「水」については、
手賀野用水の湧水地点から300m以内で取水した
恵那山麓の清冽な水をふんだんに使っています。
25年前、良い水を求めて、中津川市の市街から、
わざわざ移転したほどのこだわりです。
「にがり」については、
天然にがりのみを使用しています。
ここで、“にがり”とは、本来、海水からつくった
天然にがり(組成海水塩化マグネシウム)をさす言葉です。
しかし、現在では、大量生産に向く
化学的に合成された凝固剤(硫酸カルシウムなど)が
“にがり”として、一般的に使用されています。
化学合成の凝固剤を用いた豆腐は、
「苦味や渋み、酸味が強く、本来の豆腐とは言えない」
と、社長はおっしゃります。
(当社の代表商品「御豆腐」)
補助事業の取り組み経緯
豆の匠 中島豆腐さんでは、
こだわりの国産大豆を使用するだけでなく、
それを、高濃度で搾り出しています。
一般的に豆腐製造に用いられる豆乳が、
濃度12~13%であるのに対して、
当社では、17%~20%の濃度です。
濃度の数値的な差は、4%~8%ですが、
マヨネーズほどの粘度があり、
体感的には、2~3倍ほど、
濃いのではないかと感じました。
しかし、これほどの高濃度豆乳を用いるために、
従来使用していた一般的な豆腐づくりの設備では、
多くの問題が発生していました。
まず、大豆を挽く工程(磨砕工程)では、
投入する水の量が極端に少ないため、
大きな摩擦が発生し、
モーターが頻繁に停止していました。
また、豆乳を煮る工程(煮沸工程)では、
濃度の高さから、流動性が低下し、
沸えムラが発生していました。
豆乳を搾るザルが破損したり、
豆乳を搬送するパイプが詰まったり、
ということも、日常茶飯事だったそうです。
(「従来設備では、停止が日常茶飯事だった。」と、新設備の前で、振り返る社長さん)
補助事業の概要
豆の匠 中島豆腐さんの高濃度豆乳を用いる豆腐づくりに対応するために、
平成26年度ものづくり補助金では、
磨砕装置、煮沸装置、搾り機、にがり注入装置を、特注製造しました。
まず、磨砕工程では、
石臼の面積や形状の工夫や
モーターの出力向上により、
大きな摩擦にも耐えられるようになり、
投入水量をさらに減らすことも可能となりました。
また、煮沸工程では、
撹拌用スクリューの形状の工夫や、
モーターの出力向上により、
極めて高い粘度の豆乳でも、熱をモレなく伝え、
沸えムラを解消することが可能となりました。
(左:煮沸設備 右:磨砕設備)
さらに、搾り用のザルや搬送用のパイプなども特注し、
高濃度豆乳が詰まることも無くなりました。
化学調合の凝固剤ではなく、
天然にがりを用いることから、
にがり注入も、繊細で、手間のかかる作業が必要でした。
この工程の効率化のために、にがり注入装置も特注しました。
(左:搾り機 右:にがり注入装置)
補助事業の成果
補助事業の取り組みにより、
国産大豆の高濃度豆乳と天然にがりを用いた
独自製法のプロセスが確立しました。
補助事業取り組み前には、
17~18%が濃度の限界でしたが、
今では、20%の高濃度豆乳を、
安定的に抽出することが可能となっています。
この高濃度豆乳を用いた豆腐は、
『御豆腐』や『醍醐』として、
全国の百貨店(東京、大阪、名古屋など)と、
直販で販売されています。
当社の商品は、一個500gあたり、
1,000円~1,500円ほどと、
一般的な豆腐と比較すれば、かなり高額です。
しかし、当社の生産能力の限界である
一日800個が、予約だけで売り切れるほど、
大変な好評となっています。
伊勢神宮に奉納される二見の塩(「岩戸の塩©」)
その塩田で取れる貴重な天然にがりを使用した豆腐「御豆腐」
補助事業終了後の展開
豆の匠 中島豆腐さんの豆腐は、
全国にファンを広げています。
2021年1月には、TBSの「人生最高のレストラン」で、
ホラン千秋さんに、「日本一おいしい“豆腐”」として紹介されました
(番組HPURL:https://www.tbs.co.jp/saikourestaurant/archive/20210123.html)
その他にも、著名人の方々が、
贈答用などで定期的に、注文するなど、
ファンを広げています。
(贈答向けセット商品の例)
高濃度豆乳自体を味わってもらう取り組みも進めています。
2019年5月からは、
パウチタイプの「食べる豆乳」の販売を開始しました。
また、2020年9月には、
「来訪客に気軽に商品を味わってほしい」と、
会社前に店舗を建てました。
豆腐や豆乳などの商品販売の他に、
豆乳スムージーなど、搾りたての豆乳を
その場で味わうことができます。
便利なオンラインショップも行っていますので、
一度、当社の豆腐を味わってみては、いかがでしょうか?
オンラインショップURL:https://nakashima102.theshop.jp
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