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設備投資、高付加価値シフト、生産性向上の好循環(㈲桜井ダイカスト工業)
今週のイチオシ事例は、1973年(昭和48年)に創業して以来、ダイカスト製品製造業
および金属製品の機械加工業を営んできた有限会社桜井ダイカスト工業です。
とても積極的にものづくり補助金を活用しているけど、どんな会社なんだろうか、と
興味を持った支援専門員の矢橋がその現場を取材してきました。
<当社ウェブサイト トップページから>
目次
ダイカスト製品製造と機械加工、多品種小ロット対応
当社はダイカスト製品製造業で創業し、その後に金属製品の機械加工業も行うように
なり、現在はこの二つの分野を事業領域としています。
ダイカストとは、溶かした非鉄金属の合金を、精密な金型に高速・高圧で注入して、
すばやく製品を成形する鋳造技術のことであり、素材はアルミニウム、マグネシウム、
亜鉛などの合金を使用します。
機械加工とは、工作機械や切削工具を用いて金属を目的の形状に加工することです。
自社のダイカスト製品の加工だけでなく、他社の製品の加工だけも受注しています。
当社の
製品はさまざまな機器の目立たない部品
です。
いくつかの例としては、このようなものがあります。
▼自動車のワイパー関連部品
▼照明器具のステー(当社の工場の天井にありました)
▼椅子の高さ調整ハンドル
業種別には自動車関連が70%以上を占めますが、今後の電気自動車(EV)化によって
ニーズがなくなるアイテムはなく、また、電気関連、産業機械関連、医療機器関連、
風力発電関連など幅広い業種のメーカーから多種多様な部品を受注しています。
つまり、ダイカストと機械加工の分野なら何でも多種多様な製品を作れるため、
顧客ニーズの変化には柔軟に対応可能
な立ち位置をすでに築いているといえます。
そのような中で当社は、さらに多種多様/小ロットの受注への対応能力を高める
とともに、高付加価値製品へのシフト、生産効率の向上ならびに働き手の確保
のために
積極的にものづくり補助金を活用した設備投資
をしてきました。年度ごとの概要は以下の通りです。
平成24年度補正ものづくり補助金:ダイカスト分野
溶解段取りを大幅に削減する特殊材使用ダイカスト製造プロセスの確立
・材料交換時の工数/時間の削減および異材混入防止のため
・ターンテーブル式アルミ溶解炉および溶湯安定装置を導入
平成25年度補正ものづくり補助金:機械加工分野
航空機・医療分野での更なる受注拡大・内製化に向けた超高精度加工技術の確立
・鋳物材/鍛造材の切削加工も可能にするため
・主軸スピンドルテーパが40番以上のマシニングセンタを導入
平成26年度補正ものづくり補助金:ダイカスト分野
部品の大型化・一体化に対応可能なハイサイクル・ダイカスト鋳造法の確立
・ワイパー部品の複合化/大型化への対応、製造時間短縮および製造コスト低減のため
・ハイサイクルダイカストマシンを導入
平成28年度補正ものづくり補助金:ダイカスト分野
部品の大型化・一体化に対応可能な歪み抑制ショット法の確立
・大型の製品を歪みなくバリ取り可能にするため
・ハンガーショット機を導入
平成30年度補正ものづくり補助金:機械加工分野
多品種小ロット生産向け自社開発治具と検査体制による生産性向上
・自社開発治具を活かして多品種小ロット生産の効率と精度を高めるため
・カスタマイズしたマシニングセンタおよび3次元測定機を導入
こうして当社は設備投資によって、より高付加価値な製品にシフトして、生産性を向上させる
好循環を作り出して、働き手の確保にもつなげているのですが、
一般的にどれくらい
設備投資による生産性の向上
が図れるのか、定量的に把握できるグラフが2018年版中小企業白書(280ページ)
にあります。
これは、労働生産性が向上した企業の設備投資の有無/目的別の割合を見たものであり、
いずれの設備投資目的で見ても、
積極的に設備投資を実施した企業は労働生産性を向上させている ことが確認できます。
<2018年版中小企業白書(280ページ)>
私は今回、立ち位置をしっかりさせて積極的に事業に投資する戦略を教えていただきました。
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