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岐阜県産の間伐材の利用拡大に取り組む木材加工会社(親和木材工業㈱)

今週のイチオシ事例は、1957年(昭和32年)に郡上市白鳥町で創業して枕木の製造を始め、

1977年(昭和52年)に各務原市の岐阜木材団地に本社・工場を移転して木工製品製造業を

営んでいる親和木材工業株式会社です。

岐阜県が豊富に持つ資源を最大限に活かしている当社に興味を持った支援専門員の矢橋

その現場を取材してきました。

 

<当社工場配置図 空撮>

 

岐阜県の県土の80%は森林

 

です。

衛星写真地図を見ると一目瞭然ですが、森林は水源の確保や水害等の防止、二酸化炭素

の吸収による地球温暖化防止、木材生産など多くの機能を発揮している貴重な資源です。

 

全国的に見ると、森林率およびヒノキ人工林の面積は惜しくも高知県に次ぐ2位ですが、

 

製材工場数は全国1位

 

に輝いています。

製材工場は全国合計 で4,115件あり、岐阜県は182件で全国1位なのです。

 

「岐阜県森林・林業統計書」岐阜県林政部 2022年3月発行 p9から抜粋>

 

 

製品だと「飛騨の家具」、木材だと東濃桧」と「長良杉がブランド力を持っていますが、

地域別の木材業者の数は、実は当社がある岐阜地域が最多です。

 

「岐阜県森林・林業統計書」岐阜県林政部 2022年3月発行 p93から抜粋>

 

 

 

そんな岐阜県にあって当社は主に、

 

長良杉

 

を原材料にして製品を製造しています。

 

長良杉は、岐阜県産の杉全般をさしますが、長良川流域で多く産出されるため、また、

「長くて良い杉」という意味も込めて、この名前がつけられています。

 

長良杉の特徴は、目が均等で冬目が太いため、仕上がり後の表情が豊かなことであり、

柱・梁桁等の構造材や内装材等に、また、圧縮して強度を高める加工をするにより

フローリング材や家具材としても、使用されています。

 

 

当社は創業当初の

 

鉄道の枕木から次々に製造品目を展開

 

してきました。

 

ヤマハのギターやピアノの楽器用材、家具部材や建材、ムクドア、ログハウスなど、

主に長良杉を使った多種多様な木工製品を製造してきたのです。

<左上から時計回りに 枕木、楽器、建材、ログハウス、ムクドア>

 

 

さて、木材を産出する森林には、その機能を保つための間伐が必要です。

間伐とは、森林の混み具合に応じて樹木の一部を伐採し、残った木の成長を促す作業であり、

残った木の木材としての価値が高まります。

 

<林野庁ウェブサイトから>

 

 

この際に切り出す木材を間伐材といい、

 

間伐材をムダなく活用してより高付加価値な集成材に

 

より高い効率で加工して、より多く販売することが、

 

・間伐材の需要を拡大し、

・間伐をする経済的誘因になって間伐が適正に実施され、

・森林の機能および森林で育つ木の木材としての価値を高める

 

という循環関係にあります。

 

 

この循環関係の中で当社は、原材料として使用している

 

岐阜県産の間伐材の利用拡大のために

 

間伐材を使う製品の高付加価値化と生産性の改善を企図し、

 

 

平成30年度補正ものづくり補助金を活用

 

しました。

 

具体的には、高周波パネル接着機を導入することにより、

・製品の最大長の4mから6mへの拡大

・多くの材料の木を接着剤で貼り合わせるプレス工程の時間短縮および作業安全性の向上

を達成して、

 

間伐材を使った、より高付加価値なテーブル天板などの集成材を効率良く大量に製造可能

になったのです。

 

<原材料の間伐材>

 

<高周波パネル接着機>

 

<製品例1 楕円形テーブル天板>

 

<製品例2 中空構造の天板>

 

 

このような取り組みは、

 

前回のイチオシ事例「リチウムイオン電池製造に不可欠な高精度ローラー

でも触れた

 

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2021年6月決定)

において期待されていることです。

 

 

令和3年度 森林・林業白書」においても、

 

2050年カーボンニュートラルを視野にグリーン成長実現

 

を⽬指す森林・林業基本計画がトピックとして冒頭に掲げられ、

木材のサプライチェーン全体ならびに需要の一体的な施策の方向性が示されています。

 

「令和3年度 森林・林業白書」p3から抜粋>

 

 

木材産業についての目標も

 

森林・林業基本計画

 

に策定されていて、国産木材の利用量を増やす目標が定量的に明示されています。

 

「令和3年度 森林・林業白書」p20から抜粋>

 

 

この目標については、

 

2021年のウッドショック

2022年のロシアの日本を含む非友好国へのチップ、丸太、単板の禁輸措置

を考慮すると、

 

カーボンニュートラルもさることながら、

経済安全保障面での戦略的自律性を高めるために、できるだけ国内の資源を活用する

サプライチェーンの方が安心感があると私は思います。

 

経済安全保障推進会議(第1回)経済安全保障の推進に向けて 2021年11月19日 1ページ>

 

 

 

 

 

私は今回、身近にある資源を最大限に活用することについて考える機会をいただき、

親和木材工業さんにとても感謝しています。

 

 

 

 

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