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BtoCにもチャレンジするマルチファクトリー(㈲早野研工)
今週のイチオシ事例は、岐阜県大垣市にて板金などの金属加工のマルチファクトリーを営む、
有限会社早野研工です。
当社は1983年の創業以来、板金加工、機械加工、溶接/組付け、表面処理などの技術を培い、
積極的な設備投資を行って多様な用途の金属部品を試作段階から一貫生産しています。
近年はBtoC(個人向け)製品の企画/開発/製造/販売にも進出して、存在感を高めています。
支援専門員の矢橋がその現場を取材してきました。
<当社自社ブランド「Hot Camp」製品 焚き火台「Fire Base」>
目次
マルチファクトリー
当社のウェブサイトには、
「精密板金加工は、マルチファクトリー“早野研工”にお任せください!」
という見出しがあり、
試作板金、曲げ加工、タレパン/レーザーの複合加工、立体形状品のレーザー加工、金型製作~
プレス加工、切削部品加工や治具製作など、顧客の要望に応じた様々な加工ができること、
また、1個からの一貫生産(板金加工~機械加工~溶接・組付け~表面処理~品質保証)が
できることから、顧客の管理工数削減やコストダウンに寄与できること
がアピールされています。
私は支援専門員として多くのものづくり補助金を受けた事業者さんを担当していますが、
これほど多様な加工技術とそれを支える多様な設備を持つ事業者さんは少ないと思います。
<出所:当社ウェブサイト>
同時に、
製品の納入先(顧客)の業界/業種別の内訳が偏りなく分散していること
つまり、
リスク分散型の事業ポートフォリオ
を当社が築いていることも、
ものづくり補助金を受けた事業者さんの中では、かなり顕著な特徴です。
<出所:当社ウェブサイト>
日本の下請け製造業は全体的に狭く浅いスペシャリスト型の中小零細企業が多い、
という見方がありますが、
当社の経営戦略はそれとは真逆だと考えられます。
そして、その実行のためには技術面での課題が多くあり、それらを解消するための
機械装置への設備投資を
ものづくり補助金を積極的に活用
して行ってきた、と見受けられます。
当社のものづくり補助金の活用状況は以下の通り、とても積極的です。
平成25年度ものづくり補助金:
医療・食品機器筐体への「薄板歪レス、仕上げレス」溶接技術の確立
・極薄ステンレス部品の溶接時の歪、打痕、変形の発生をなくすために
・高速溶接技術搭載のテーブルタイプスポット溶接機と引張試験機を導入
<テーブルタイプスポット溶接機と引張試験機>
平成26年度補正ものづくり補助金:
高性能溶接ロボットと3次元測定機導入による試作部品製作のリードタイム短縮とプロセス強化
・多品種少量部品の溶接組付品に要求される精度および検査体制の向上に対応するために
・ロボット溶接機および非接触3次元測定機を導入
<ロボット溶接機および非接触3次元測定機>
平成27年度補正ものづくり補助金:
新型レーザーパンチ複合加工機導入による工程集約により、電車、バス車両部品加工のリードタイム
短縮と高精度加工の確立
・複数の工程(=機械)を経る製品の工程間待ち時間の短縮と精度/外観品質などを改善するため
・レーザーパンチ複合機を導入(工程を集約して、位置決めや仕上げの工程を不要化)
<パンチレーザー複合加工機>
平成29年度補正ものづくり補助金:
3次元レーザー切断革新による高精度・高速加工の実現で、車両向けプレス絞り製品の受注拡大
・切断工程の精度の向上と検査/修正の不要化によるリードタイム短縮のため
・炭酸ガス3次元レーザー加工機を導入
<炭酸ガス3次元レーザー加工機>
そんな当社は近年、金属加工のマルチファクトリーとして、
BtoC製品の企画/開発/製造/販売にも積極的
に取り組んでいます。
・将棋の駒および麻雀牌(スチール製/24金メッキ!)
・組立式ペット用食器台(スチール製)およびアクセサリー(真鍮製イヤリング/ピアス)
最近はそれを加速させていて、自社で企画/開発/製造している
自社ブランド「Hot Camp」のキャンプ用品が
東京ギフトショー2021グランプリを受賞するまでになりました。
<当社自社ブランド「Hot Camp」製品 焚き火台「Fire Base」とプレート>
<当社自社ブランド「Hot Camp」製品 焚き火台「Fire Base」の使用イメージ>
今後はこの自社ブランド「Hot Camp」事業を成長させることが課題の一つであり、
当社は、製品開発や販路拡大(ECサイトとリアル店舗)に必要な資金調達のために
事業再構築補助金(第2回公募 通常枠) に応募して、採択されています。
さて、
なぜBtoCにも注力
するのか?
早野社長に質問したところ、
・2008年のリーマンショックで受注がなくなったことが忘れられない
だから、
・自社で最終消費者に販売できる製品をつくりたい
とのことでした。
私は事業ポートフォリオのリスク分散とか、新型コロナ感染拡大後も続くアウトドア用品
市場の拡大が動機だと想像していましたが、悲願とも言うべき切実な思いを感じました。
私はここで、
持続性を高めるためには、多様なことにチャレンジしてみることも必要
だと教えていただきました。
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