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うだつが上がった造り酒屋

創業1772年(明和9年)。
「(株)小坂酒造場」は、うだつが上がった街で有名な岐阜県美濃市に位置します。

 

 

 

こんにちは。
ものづくりセンター支援専門員の石井です。

 

来年(2022年)、250周年を迎える美濃市の「(株)小坂酒造場」にお邪魔してきました。

 

 

うだつが上がった造り酒屋

 

 

 

小坂酒造場を語る上で、忘れてはならないのが「うだつ」です。

 

「うだつ」とは、日本家屋の屋根に取り付けられる小柱、防火壁、装飾の事。
Wikipedia参照

 

うだつのある町並みとしては、徳島県美馬市脇町南町や徳島県つるぎ町貞光が有名です。

 

そして、「岐阜県美濃市」。

 

中でも「小坂家」の建物は国の重要文化財に指定されているほど、見事な作りです。

美濃市内には、うだつ造りの町家は20軒ほどありますが、小坂家の三本うだつをあげた美しい起り屋根は他に比べるものがない見事さです。

 

 

 

建物そのものは、約250年前に建てられたものです。

年月を経るごとに傷んできます。

そこで、昭和57・58年にわたって半解体修理がなされたそうです。

この時に、工費約6500万円をかけ江戸時代の姿を完全に近い形で再現することができました。

 

 

1772年は、10代将軍 家治の時代。
「田沼時代」と呼ばれた頃の事ですね。

 

歴史を感じます。

 

イギリスに留学してました

 

 

 

小坂家の12代目として生まれた小坂社長は、東京の大学を卒業後、イギリスに留学されます。

 

 

時代は、1980年代の後半。

バブルの絶頂に向かう時期ですね。

 

 

イギリス留学は3年。日本に帰国後、営業の勉強や酒造りの勉強を実体験を通して学ばれます。

 

 

そして、小坂酒造場に入社。

 

最初は、酒造りから営業から全て一から教わったそうです。

 

実は、この頃から日本酒業界が大きく変遷していきます。

 

 

まず、1992年。

この年にそれまでの「級別制度が廃止」されました。
「特級・一級・二級」に分かれていた日本酒が普通酒・特定名称に分かれ、特定名称が「本醸造・純米・吟醸 等」に別れていきました。

 

 

実は、この事が日本酒をわかりにくくする要因でもあったのです。

 

 

ただ。。。

「吟醸」という名称が一般的になり、「吟醸酒ブーム」が到来し、新潟の「淡麗辛口」に代表される全国の地酒がクローズアップされていきました。

 

 

社長に就任

 

 

 

 

2014年(平成26年)
小坂酒造場の社長に就任。

 

この頃の酒類業界の動きを見てみましょう。

 

2006年(平成18年)
酒類の小売免許が完全自由化されました。
(人的要件と経営基礎要件などの要件を満たせば販売免許の取得が可能となりました)

 

 

この結果、1995年には酒類小売業者の78.8%を占めていた「一般酒販店」が、2013年には31.3%になり、逆に1995年には11.8%だったコンビニエンスストアが2013年には32.6%にまで増えてきました。
(出典:酒類小売業者経営実態調査、酒類小売業者の概況)

 

それまで取引をしていた一般酒販店が徐々に減少していくに従って、一部の販路を変更する事が出来なかった蔵元の売上も減少していきます。

 

そして、蔵元そのものの数も年々減少していきます。
日本全国の日本酒蔵元の数も、2000年には1977者でしたが2016年には1405者に減少しています。
(出典:国税庁「清酒製造業の概況」)

 

小坂社長が小坂酒造場に入社した頃から、日本酒業界の業界地図が大きく塗り替わってきました。

まさに受難の時代を生き抜いてこられたのです。

 

 

生酒がスキ

 

 

平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助事業では、生酒を超低温にて貯蔵する事業に取り組まれました。

 

 

日本酒は、一般的に2回火入れを行います。

 

酒を仕込んでタンクに貯蔵する際に1回。

仕込みタンクから貯蔵タンクにお酒を移動させる際にお酒そのものの温度を60~65度に上げます。

そして、タンクから瓶に詰める際に1回。

 

で、「生酒」はこの火入れを一切行わないお酒の事です。

 

火入れを行いませんので、常温で貯蔵しておくとお酒が劣化してしまいます。

その劣化を防ぐ為に、この事業では清酒の凍結温度直前の温度で貯蔵させることに成功しました。

このことにより、一年中、しぼりたてそのままの爽やかな風味の良い清酒の提供が可能になりました。

 

小坂社長に聞いてみたんですね。

 

何故、この事業をやろうと思われたんですか?

 

そしたら、

 

 

生酒がスキなんです。

 

 

というお答えが返ってきました。

 

私も生酒のフレッシュな風味が好きなので、大きくうなづいてしまいました。

 

 

補助事業で実現したこと

 

導入した冷蔵庫外観

 

 

 

補助事業では、超低温で貯蔵するために蔵内の一画に冷蔵庫を設置しました。

* 補助対象経費は、「冷蔵設備機器」のみ

 

この冷蔵庫には、1升瓶で3,920本分貯蔵することが可能です。

 

しぼりたての生酒をそのまま瓶に詰め、冷蔵庫で超低温で貯蔵することにより、しぼりたての風味そのままの味わいを維持することができます。
また、貯蔵することによりしぼりたての荒々しさが丸みを帯びて感じられるようになります。

 

 

導入した設備内で貯蔵中

 

補助事業が終了してから5年以上経過しています。

この事業で導入した冷蔵庫に保管されたお酒は、しぼりたての時そのままの風味を保つことができていて、お客様にも大変好評だそうです。

現在では、この商品として広く全国に販売されています。

 

 

 

 

これからの小坂酒造場

 

 

 

今、日本全国の清酒蔵元は未曾有の危機に瀕しています。

 

コロナ前は、少子化や若者のアルコール離れによる「アルコール飲料そのものの消費量の減少」。
コロナ禍の今は、緊急事態宣言等により主要の消費場所である料飲店そのものの営業ができない状況にあります。
また、海外への輸出にも力を入れていましたが、今は、ほぼ輸出できない状況にあります。

 

 

本格的な営業活動は、やはり、コロナ禍が落ち着いてからになるのではないでしょうか。

 

 

この様な状況は、多くの清酒蔵元が抱える共通の課題かと思います。

まさに「イバラの道」を歩いている状態です。

 

もし、小坂酒造場のお酒に少しでも興味を持たれましたら、このサイトをご覧ください。

 

小坂酒造場
なんとか乗り切って欲しいです。

最後に。
お忙しい中、取材にご協力頂きました小坂社長。
本当に、ありがとうございます。

 

 

今回の記事に興味を持たれた方はコチラ

 

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