イチオシ事例
HOME › イチオシ事例
「型」にはまったらあかん!!
「プラスチック金型設計専門会社」株式会社モールデック。
各務原の住宅街の一角に、同社はあります。
こんにちは。
ものづくりセンター支援専門員の石井です。
今回は、「型設計」を事業としているのに、「型にはまったらあかん!!」をキャッチフレーズにされているモールデックさんにお邪魔してきました。
車の修理をやりたかった
株式会社モールデックの奥村社長は、「車の修理」を職業にしたかったそうです。
昔から、「ものづくり」がお好きだったのではないか、と思います。
大学を卒業して、カーディーラーに就職。
車の修理ができるっ!
と、思っていたのですが、実際に就職してみると、ほぼ部品交換の対応のみ。
与えられたマニュアルに沿って、部品交換をする毎日。
全然、クリエイティブじゃない!!
そう思った奥村青年。
技術者派遣会社に転職します。
何故、この会社に転職したのか聞いてみると、
当時から自分で起業したいと思っていた。
そうで、技術者派遣会社で技術を身につけたかったそうです。
32歳で起業
1990年1月
勤務先で知り合った技術者とともに、3名で「有限会社モールデック」を立ち上げます。
業務内容は、「プラスチック金型設計専門会社」
設立の際、
自社開発商品を世に問いたい
という想いがあったそうです。
なので、設立して間もなくして
1990年7月
プラスチック金型設計向けコンピュータ「プラ型くん1世」を発売します。
当時は、今のようにCADが普及してませんでした。
設計図は、ドラフターで手書きをするのが当たり前の時代。
設計技術者の方々は、各種の複雑な計算は「関数電卓」や「ポケットコンピュータ」を使ってました。
モールデックでは、市販のポケットコンピュータに同社で開発したソフト「プラ型くん1世」をインストールして販売しています。
この「プラ型くん」は、その後進化を遂げ
1991年 3月 「プラ型くん2世」
1991年10月 「設計屋くん1世」:機械設計者向け
1993年 7月 「寸法帝王1世」:機械設計・加工者向け
と、進化を遂げました。
<挑戦>多角化を目指す
モールデックのキャッチフレーズは、
「型に はまったらあかん!!」
です。
同社の事業は、プラスチック金型設計。
「型」にかけてますね。
そして、このメッセージに続きます。
私たちは既成概念にとらわれず、常にクリエイティブな発想を持ち
常に挑戦する『心』を持った技術者集団を目指します。
この言葉通り、モールデックは新たな挑戦を始めます。
2004年
プラスチック金型設計の上流工程となる「プラスチック製品の開発設計(主に自動車部品)」サービスの提供を開始しました。
この事業は、現在では設立当初からの「プラスチック金型設計」事業に加えて2つめの事業の柱として推移しております。
2008年
リーマンショック
ものづくり企業にとって、この年は大変な年だったのではないでしょうか。
多くのものづくり企業の業績が悪化し、経営の多角化を余儀なくされました。
モールデックも、当然、影響を受けました。
この頃から、奥村社長の気持ちの中で、
仕事は一日中、パソコンに向かっている。
こんなの人間の生活ではない!
自然に触れる暮らしがしたい!!!
という想いが募り始めます。
そして、
2009年
ふるさと雇用再生特別基金事業
田舎暮らしビジネス創出支援モデル事業
に、採択されました。
この補助事業で、
ログトレーラーハウスを活用したクラインガルテン(農園付きコテージ)事業
を実施しました。
そして、ものづくり補助金
奥村社長は、2006年にいち早く「経営革新計画」(中小企業庁/新事業活動促進法)の承認を得る等、早くから公的支援を上手に活用されていました。
2009年10月 「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金事業」に採択
2012年 4月 「6次産業化商品販路拡大のための体制強化・支援事業委託業務」に採択
2013年 8月 「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金事業」に採択
2014年11月 「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に係わる補助事業」に採択
2015年12月 「ものづくり・商業・サービス革新事業に係わる補助事業」に採択
特に、2015年12月の「ものづくり・商業・サービス革新事業に係わる補助事業」では、モールデックの既存事業とはかけ離れた「トレーラーハウス事業」に本格参入する為の開発を目的としていました。
車軸ユニット着脱式マルチユニットトレーラー
平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助事業では、車両ユニット部と建物部分を脱着構造にした「マルチユニットトレーラー」の試作開発に取り組まれました。
マルチユニットトレーラーそのものは、それまでに開発を終えていましたが、本事業では、従来タイプの構造に大きくメスを入れ、
・ 従来タイプで課題として上がっていた不具合を解消
・ コンパクト化、軽量化を目指す
上記目標を掲げて、事業に取り組まれました。
結果、
・ 不具合解消に成功
・ コンパクト化
全幅:10%削減
全長:20%削減
重量:10%削減
上記内容で実現しました。
本事業終了後、モールデックのトレーラー事業は、徐々に市場に浸透し、直近の決算では、会社全体の売上に対し約20%を占めるまでに成長しました。
これからのモールデック
現在、奥村社長はモールデックの既存事業(設計部門)には携わらず、トレーラー事業のみに携わっておられます。
これまでに、トレーラー事業とは別に「6次産業化」に関係する事業にも関わっておられます。
以前からの想い、
仕事は一日中、パソコンに向かっている。
こんなの人間の生活ではない!
自然に触れる暮らしがしたい!!!
この想いが実現しつつあります。
奥村社長はおっしゃいます。
これから、木製の小屋を中心としたコミュニティーを構築していきたい。
その為に、トレーラーハウスが必要だと考えている。
しかし、現在、トレーラーハウスの車軸に日本製がない。
日本製のトレーラーハウスの車軸を供給していきたい。
IT化の普及とともに、今、働き方が変わりつつあります。
その流れが、コロナウイルスの影響を受けて加速し始めています。
・ リモートワーク
・ ワーケーション
・ 田舎暮らし
最近、特によく聞かれるようになった単語です。
これからも「住居」というものはなくなりません。
ただ、これまでのような「分譲マンション」だったり「一戸建て住宅」の需要は減っていくのではないでしょうか。
それに代わって、一部には奥村社長が力を入れている「トレーラーハウス」を選択する人たちも増えてくるような気がします。
これからのモールデック。
ますます楽しみな事業者さんです。
最後に。
お忙しい中、取材にご協力頂きました奥村社長。
本当に、ありがとうございます。
今回の記事に興味を持たれた方はコチラ