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ロボットも売る実践的提案型商社((株)プラス)
こんにちは。支援専門員の矢橋 敬(やばし たかし)です。
今週のイチオシ事例は、株式会社プラスです。刃物の町、関市にある本社工場倉庫
を取材してきました。
商社として創業
関市は国内有数の刃物製造業の集積地であり、
“関の刃物”は岐阜県が誇る地域ブランドです。
当社は刃物などの研磨に使う機械部品・材料などの卸売りをする商社として創業
しました。現在でも当社の大黒柱はこの商社事業です。
創業時は商社事業だけでしたが、
次に研磨加工事業
も始めました。
主な加工品は、刃物の集積地だけあって、包丁などの刃物ですが、最近では
ロードレーサー型の自転車用のディスクローターの研磨も手がけています。
当社の代表的な研磨加工の仕事をクローズアップすると、包丁の柄と刃の間にある
「口金」の研磨
があります。
写真の2本の包丁のどちらが加工後か分かりますか?
上が加工前、下が加工後です。
口金は刃に溶接されるため、どうしても溶接部分に波打ったような凹凸(余肉)が
できます。
当社はここの凹凸を研磨して、滑らかなアーチ状に仕上げるのです。
<当社の包丁口金部分研磨 上:ビフォー 下:アフター>
この加工は、以前は熟練の職人による手作業でしかできませんでした。
ひとことで包丁といっても、形状や大きさは多種多様で、口金溶接部分の凹凸も
均一ではないため、研磨機械を使って、職人が一つ一つ研磨材の当て方などを
経験値に基づいて最適化した研磨加工を行うしかなかったのです。
<従来型の研磨加工機械>
当社は従来、この工程の外注もしていたのですが、継続性と安定性に課題を感じて
いました。少子高齢化の影響はここにもあるのです。
そこで当社は
ものづくり補助金
を活用して、包丁口金溶接部分の
・研磨加工工程の内製化
・仕上げ加工工程を行う研磨職人ロボットの開発
に取り組みました。
導入した機械は
・機械加工機ロボドリル(マシニングセンター)
・6軸多関節ロボット/システム
です。
<機械加工機ロボドリル(マシニングセンター)> <6軸多関節ロボット/システム>
この工程は何もかも完全に機械化できるものでもありませんが、
これにより当社は、
・外注に出す場合以上の速度での機械加工工程の内製化
・熟練の職人の経験値に基づくロボットによる仕上げ加工工程の機械化/自動化
を実現しました。
先程から「経験値」という言葉を使っていますが、ここに至るまでには
職人の経験値をロボットに教え込む、”ティーチング”という過程が必要であり、
また、当社が長年研磨加工の経験値を積んできたからこそティーチング
ができたのです。
そんな当社は現在、
実践的提案型商社
をめざして、
・自社工場で培った研磨加工およびバリ取加工等のノウハウに基づいて、
・研磨剤などの商材を豊富に取り揃え、
・研磨職人ロボットの販売をティーチングなどの導入サポート付きで
行っています。
“関の刃物”のブランド力はこうして支えられているのだ、とあらためて実感
した次第です。
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