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樹脂課題解決戦隊 プラレンジャー
今回は、樹脂課題解決戦隊!プラレンジャーのご紹介です。
支援専門員の石井 克成(いしい かつなり)です。
「樹脂に関する無理難題を解決!」
今回は、「樹脂(プラスチック)」に関する無理難題を解決してくれる「株式会社グランツ」をご紹介します。
グランツの歴史
(株)グランツは、1986年10月愛知県稲沢市に誕生しました。
以来35年以上に亘り、「環境に優しく」をキーワードにプラスチック製研磨材「サンブラスト」の製造とプラスチック原料の着色・再生加工を核として業容を拡大してきました。
グランツでは、樹脂(プラスチック)に関係する様々な製品を製造販売しています。
—–以下、引用(グランツ ホームページより)—–
20世紀に入りプラスチックは、使い勝手がよく生活に欠かせない素材として世界中で親しまれ使用されてきましたが、近年プラスチックを取り巻く環境は著しい変化にさらされ、地球規模での環境問題等の矢面にも立たされています。
昨今、SDGsやサーキュラーエコノミー(循環型経済)が注目され、大きなうねりを迎えようとしています。
それに伴い、プラスチックの再生や再利用は、我々が取り組むべき世界共通の課題としてますます重要視されてきています。
今まさに、弊社の技術とこれまで培ってきたノウハウや経験が活かされる時を迎えています。
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樹脂課題解決戦隊!プラレンジャーが活躍しなければいけない時代が到来しました。
グランツの事業戦略
グランツでは、下記2つの事業を今後の事業の柱として捉えられています。
- 熱可塑性樹脂の微粉砕事業
樹脂に色をつける際、「マスターバッチ」を使用することがあります。
マスターバッチとは、樹脂に高濃度の染料や顔料を練り混んだ樹脂用着色材です。
また樹脂に着色する以外にも耐候剤、帯電防止剤、抗菌剤などの添加剤を練り混んだマスターバッチを使用して、樹脂に様々な特性を付与させることが可能になります。
グランツでは、高機能なマスターバッチの開発を進めています。
現状の課題として、顔料や添加剤は粉状ですが、樹脂はペレットと呼ばれる米粒状で、形状が違うために、均一に混ざらないことが挙げられます。
その課題を解消するために、樹脂を微粉砕して形状を一致させることで、均一に練り混ませることが可能になります。
通常の粉砕機では、摩擦熱により、樹脂が溶けて固まってしまい微粉砕ができませんが、グランツでは常温でも樹脂を微粉砕する技術を持っています。
この技術を生かして、より高機能なマスターの開発が実現します。
- カーボンニュートラル
地球温暖化への対策として、日本はもちろん世界的に、「カーボンニュートラル」への関心が高まっています。
これを受けて、樹脂の業界では「バイオマスプラスチック」と「生分解プラスチック」に光が当たっています。
★ バイオマスプラスチック
再生可能資源である生物資源「バイオマス」を原料とするプラスチック。
バイオマスプラスチックは、元来地上にある植物を原料とするため、地上の二酸化炭素の増減に影響を与えないカーボンニュートラルの性質をもつ材料とされます(バイオマスプラスチックを燃焼して、大気中へ排出された二酸化炭素は、光合成によって再び植物に固定される)。
バイオマスプラスチックは、この性質が“環境にやさしい”とされる理由です。
★ 生分解性プラスチック
生分解性材料とは、微生物によって完全に分解されて、水と二酸化炭素のみを生じるものです。
世界のプラスチック生産は1960年代から2019年では約20倍の4億トン/年となり、20年後にさらに2倍の予測がされています。
このうちリサイクルされているものは10%弱に過ぎず、回収された使用済みプラスチックの多くがサーマルリサイクルとして焼却されたり、埋め立てに使用され、さらに自然界(海洋等)に流れ出たり、投棄されています。
ここまでは2050年までに海洋中のプラスチックが魚の重量を上回ると言われており、環境汚染が深刻化しています。
これに対して、EUをはじめ世界各国ではプラスチックの資源循環への関心が高まっています。
(参照:日本バイオプラスチック協会 )
グランツでは、生分解性プラスチックのコンパウンド加工で15年以上の実績があります。
資材用途に限れば、国内でトップクラスです。
平成26年には、生分解性プラスチック事業のさらなる発展を目指して、「ワンランク上の生分解素材を試作開発できる体制を整える」べく、ものづくり補助金を活用されました。
ワンランク上の生分解素材
ものづくり補助金では、生分解性マルチフィルム原材料の品質保証システムを確立するとともに、より高品質な原材料の試作開発を実施する体制を構築する事ができました。
本事業では、「射出成形機・シャルピー衝撃試験機・熱盤プレス・環境試験機 等」を導入しました。
導入した設備を活用する事によって、精度の高い生分解性原材料での試験片、カラープレートを製作し、物性試験・色相検査を実施し精度の高い試験成績書の提出が可能となりました。
グランツではこうした取り組みの結果を営業活動に活かし、さらなる顧客満足度向上につなげ、受注拡大に結びつける体制を整える事ができました。
これからのグランツ
グランツが事業の中心に据えている
★ バイオマスプラスチック
★ 生分解性プラスチック
は、大きく「バイオプラスチック」と総称されます。
「プラスチック」と聞くと「化学的・人工的」なイメージが強く、地球環境に悪影響しか及ぼさないモノと思っていました。
しかし、グランツの堀木工場長のお話しを聞くにつれ、それまでのプラスチックに対するイメージが変わるとともに、技術革新によってプラスチックの可能性は果てしないと思うようになりました。
様々な特性を持たせたバイオプラスチックを開発する事によって、これまでは考えられなかったプラスチックの用途が拡がります。
例えば、生分解性プラスチックであれば、
砂漠で緑化のために生分解性プラスチックを用いて保水していたとします。
この場合は、長い期間をかけて分解されるものでなければいけません。
逆に、海に流れ出たプラスチックはすぐに分解するのが望ましい。
これらは、生分解性プラスチックの分解機能をOn・Offする事が可能になったら実現するのかもしれません。
グランツでは、ここではご説明できない事業の検討も進んでおります。
プラスチックの課題解決戦隊
プラレンジャー
これからのご活躍が、益々、楽しみです。
最後に。
お忙しい中、取材にご協力頂きました堀木工場長。
本当に、ありがとうございます。
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