今週のイチオシ事例は、世界に一つだけのはきもの”GETALS”（ゲタル）を

製造/販売している嵯峨乃やです。

支援専門員の矢橋が、恵那市の古民家にある工房兼店舗を取材してきました。

 

 

GETALS（ゲタル）とは、

 

嵯峨乃やの創業者/代表の大森將人さんが独自に開発した、

日本のゲタと外来のサンダルを融合させた、はきものです。

 

嵯峨乃やは2010年の創業当初は着物のクリーニングの取次業をしていたのですが、

取引がある着付け教室の先生から「体幹を鍛えると姿勢が良くなり、着物を美しく

見せることができる」という話を聞いたことをきっかけに、

・足の指がしっかり広がり、

・足がしっかりフィットする、

・健康に良いはきものを作りたい！

と大森さんは考えました。

 

そして、このGETALSを開発したのです。

 

 

 　  

 

GETALSは岐阜県恵那市にある

 

古民家をリノベーションした工房兼店舗

 

で製造/販売されています。

 

GETALSは足が乗る台座部分がヒノキで作られているため、店内に入ると、ヒノキの芳香

に包まれます。古民家ということもあり、とても癒されるリラクゼーション空間です。

 

　

＜工房兼店舗　看板＞　　　　　　　　　　＜工房兼店舗　玄関＞

 

　

＜工房兼店舗　天井＞　　　　　　　　　　　　　＜創業者/代表の大森さん＞

 

 

しかしゲタって風流だけど歩きにくいんじゃないの？

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、

 

GETALSは運動靴とほとんど変わらない動作が可能

 

であることが、岐阜大学によって検証されています。

 

・五本の足指をそれぞれ独立して鼻緒に通す構造になっていて

・台座を足裏の形にフィットする曲面に加工してあり

・台座の裏には普通の靴と同じソールが貼ってあるから

です。

 

 

 

そんなGETALSの製造/販売を開始した当初は、他県の業者さんから台座を仕入れて、この

工房で組み立てていました。

 

そのため、商品完成までに日数を要し、発注ロットの制限もあり、サイズの種類も少なく、

在庫も多く抱えざるを得ませんでした。

 

これらの課題を解決したい！と考えた大森さんは、

 

平成29年度補正ものづくり補助金を活用して台座を内製化

 

してしまったのです。

ここまで大きく内製化の度合いを高めた事例は少ないと思います。

 

具体的には、

・ユニバーサルヘッド 5 軸制御NCマシン

・CAD/CAM加工データ作成機

 

を導入して、この工房で自在の形状やサイズの台座を作れるようになっただけでなく、

受注から商品完成までのリードタイムの短縮、在庫および外注費（つまり運転資金）

の削減も実現しました。

 

また、これを機に台座を、高級住宅に使われる岐阜県産の「東濃ヒノキ」にして、

品質を飛躍的に向上させたことも見逃せません。

 

　

＜手前：CAD/CAM加工データ作成機　　奥：ユニバーサルヘッド 5 軸制御NCマシン＞

 

　

＜鼻緒＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜台座＞

 

 

そしてその後も

 

GETALSは進化しています。

 

・鼻緒の色や生地を自由に選べて名入れもできる“マイオリジナルGETALS”

・室内で履けるようにソールを静音設計にした“room GETALS”

　を開発して、

GETALSは、より魅力的なはきものになりました。

また、

・“東濃ひのきのアロマバス”などの関連製商品

　も次々に開発して、

GETALSを軸にしたライフスタイルを提供しつつあります。

 

　

 

 

そのような努力を重ねていたところ、令和元年度に

 

GETALSは岐阜県の「飛騨・美濃すぐれもの」

 

に選ばれました。これは、

岐阜県が、県産品の看板商品となり、県のブランディングにつながる優れた商品

だと認めた製商品を認定する制度であり、現在、84商品が認定されています。

 

　 

 

 

さて、2020年からの新型コロナウィルス感染拡大は、都市部のデパートや駅ナカでの

催事販売も重要な販路であったGETALSにも影響がありました。

 

しかし、これまでに

・主要事業を着物クリーニング取次からGETALS製造/販売に変更し、

・GETALSの最重要部品の台座を外注から内製に変更してきた

嵯峨乃や/大森さんは、

 

新型コロナウィルス感染拡大にも柔軟に対応

 

しています。

 

オンライン会議ツールであるzoomを使った「オンライン来店」により、

お客様が好きな場所からアクセスして商品説明を受けて、

オンラインで購入できるようにしたり、

 

3,500円で5,000円の商品が買える恵那市商品券「カっとく！応援チケット」

でGETALS等を買えるようにして、

 

さらにオンライン来店のお客様にこのチケットの使用方法も説明したり、

 

マスクホルダーなどの新型コロナウィルス感染対策商品を開発/販売したり、

 

と、手を尽くしています。

 

　

＜オンライン来店＞

 

＜恵那市　商品券　「カっとく！応援チケット」＞

 

＜マスクホルダー＞

 

 

課題と変化に柔軟に対応することの重要性を、私はここでも教えられました。