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業務改善の進め方~七つのムダを撲滅しよう~
今回のG-Clubラーニングは、
「業務改善の進め方~七つのムダを撲滅しよう~」をテーマに、
支援専門員の小寺弘剛(こでら ひろたけ)がお送りいたします。
働き方改革による残業規制強化や有給取得義務化、
現在議論が進んでいる選択的週休三日制など、
労働時間を短縮させる政策が次々と打ち出されています。
また、最近では、新型コロナ対策のために、
残業削減や時短勤務に取り組んでいる事業者様も
多いのではないでしょうか?
我々の労働時間は削られていく一方ですが、
「仕事量自体は減っていない!」
「この仕事はいつ処理すれば良いのか!」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回のG-Clubラーニングでは、
ムダな作業を撲滅し、短い労働時間の中で、
成果を上げていくための方法について、
一緒に考えてみたいと思います。
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その他、ISOや経営管理手法に関する
掲載記事は、コチラからどうぞ。
三つの作業とは?
業務改善のために、
まず、自分あるいは自分の職場にある仕事の内容を振り返ってみましょう。
ここでは、仕事を、一つ一つの作業(行動)に分解していくことがポイントです。
我々が行っている仕事は、大きく以下の三つの作業に分類できます。
①主作業
直接「付加価値」を生んでいる活動です。
例えば、プレゼンや商談をする。製品を組み立てる。など直接の生産活動です。
②付随作業
直接「付加価値」は生んでいませんが、
主作業を実施するために、必要不可欠な活動です。
例えば、アポイントメントを取る。商談のために移動する。
製品組み立てのために部品をピッキングする。といった活動です。
③ムダ作業
全く「付加価値」を生まない活動です。
例えば、やり直しをする。材料や部品を探す。
謝罪や後始末をする。ネットサーフィンをする。などです。
ここで、業務改善のポイントは、
「付加価値」を生む活動(=「主作業」)に、
注力できる体制を整えることです。
ただ仕事量を減らす取り組みをし、「主作業」が減ってしまえば、
製品やサービスの品質低下や、会社の売上や利益の減少につながります。
「付随作業」を効率化するとともに、「ムダ作業」を撲滅することで、
「主作業」の割合増加と、仕事量全体の減少を両立することができます。
七つのムダとは?
仕事に潜むムダな作業は、
大きく以下の七つに分類できます。
これを七つのムダと呼びます。
①手待ちのムダ
前工程(他の担当者の仕事)の完了を待っていて、
自分の仕事を進められない状態が発生することです。
例えば、「部下に依頼しているデータ集計が遅れており、
企画書作成に取りかかれない。」といった状態です。
②つくり過ぎのムダ
求められている以上の品質や数量の成果物を
作成するために時間を浪費することです。
例えば、「チーム内の共有資料に、
凝ったデザインやアニメーションをつけた。」といったことです。
③加工のムダ
仕事の環境や条件が変わったのにも関わらず、
慣習で続けている不必要な仕事に時間を浪費することです。
例えば、「前任の上司の指示で、売上日報を印刷・回覧していたが、
販売管理システムが導入された今では、
印刷の日報を見ている者は居ないことに気づいた。」といったことです。
④動作のムダ
仕事で使う材料や情報、道具が揃っておらず、
何度も取りに行ったり、確認しに行ったりして、時間を浪費することです。
例えば、「契約書を作成しようと思ったら、顧客の注文内容の不備に気づき、
再度、顧客を訪問することになった。」といったことです。
⑤運搬のムダ
材料や製品、情報などの不必要な運搬(移動)を行って、
時間を浪費することです。
例えば、「実質的に課長に決裁権限が移行している稟議内容について、
常に部長に回すことで、決済に時間がかかっている。」といったことです。
⑥在庫のムダ
仕事や材料、情報などを過剰に溜め込むことで、
作業効率を低下させ、時間を浪費することです。
例えば、「取材記事の作成を後回しにしていたら、内容を忘れて、
録音を聞き直すことになった。」
あるいは、「不必要な書類を保管し過ぎており、
必要な書類を探すのに時間がかかっている。」といったことです。
⑦手直しのムダ
仕事の成果物について、不備の手直しを行うことです。
特に、仕事の最終段階になって、序盤の不備に気づくと、多くの浪費を消費します。
例えば、「製品量産開始後に設計図に不備があることが発見され、
設計から全てやり直しになった。」といったことです。
七つのムダの撲滅方法
発見したムダな作業(七つのムダ)を撲滅する方法に、
ECRSの原則(改善の四原則)があります。
ECRSの原則は、E(排除)→C(結合)→R(入替)→S(簡素化)の順に
改善策を検討する手法です。
Eは、作業そのものを無くす改善であり効果が大きいため、先に考えます。
逆にSは、機械化、自動化というコストがかかる改善に走りがちなため、
一番最後に考えます。
今回の内容はいかがでしたでしょうか?
業務改善の目的は、
ムダな活動の撲滅と
付加価値を生む活動の増加の両立です。
今回の内容を参考に、皆様の会社で、
仕事の全体量削減や労働時間短縮と、
仕事の品質向上や会社の売上・利益の向上を
両立されることを願っています。
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