G-Club支援コーナー

イチオシ事例

HOME › イチオシ事例

戦国時代に創業した鋳物屋さん(㈱岡本)

今週のイチオシ事例は、岐阜県内で最古級の企業である株式会社岡本です。

460年以上の業歴を誇りつつ、積極的にものづくり補助金を活用して時流に適応している

事例として、支援専門員の矢橋が岐阜市内の現場を取材してきました。

 

 

さて、この絵は昔の鋳物作りの現場を描いたものですが、いつ頃の昔かというと、

当社が

 

戦国時代真っ只中の1560年(永禄3年)に創業

 

した当時のものです。

1560年ということは、今から460年以上前であり、

1567年に織田信長が地名を「岐阜」とあらためて本拠地とした7年前です。

もう、大河ドラマの世界ですね。

 

 

そんな当社グループが創業して

 

以来ずっと作り続けている製品は、梵鐘

 

つまりお寺の鐘です。

 

冒頭の絵の右上にその梵鐘が描かれてることにお気づきかと思いますが、

大量の金属を高熱の火で溶かして型に流し込んで梵鐘にしていく職人の働き

が生き生きと描かれています。

 

有名なところだと、映画・寅さんシリーズでおなじみの柴又帝釈天(東京都

葛飾区)や大須観音(名古屋市)の梵鐘も当社グループの製品です。

 

 

梵鐘以外では、吊下型の灯籠などもあり、

 

江戸時代には朝廷から鋳物師職を賜り、

 

京都御所に灯籠を献上していました。

今でも1749年(寛延2年)の鋳物師職の免状が残っていて、全国レベルで高い

評価を受ける高度な技術を持っていたことを裏付けています。

 

  

<岡本家型吊灯籠>                         <1749年(寛延2年)の鋳物師職の免状>

 

 

江戸時代までは梵鐘、灯籠、鍋、釜などを製造していた当社グループは、

 

明治以降は社会インフラや産業機械に関連する領域に

 

展開していきました。現在は、

 

当社本体では

・上下水道用異形管、上下水道/ガス/情報通信電力用蓋

・金型部品などの各種鋳造品

・薪ストーブ

などを、

 

グループ全体では、

・梵鐘

治具、除振・防振製品、精密定盤、作業工具、鋳造部品

航空機関係治具、大物機械加工、大物鋳物製品

低温黒色クロムめっき処理(ミクロデント処理)

など、

鋳造技術をコアとした製品を製造するとともに、

住宅リフォーム業

のようなサービス業も展開しています。

 

<水道用異形管>

 

<各種鋳造品>

 

 

<CCボックス:道路の蓋>           <薪ストーブ>

 

 

もう一つの明治以降の動きとしては、

 

大正時代(1923年)に株式会社化

 

して、その後も分社化やM&Aなどによって、鋳造業をコアにした、

当社、株式会社ナベヤ、株式会社ナベヤ製作所などからなる企業グループを形成し、

成長し続けていることがあげられます。

 

グループ各社の事業内容の分担は、製品特性や機能(製造設備/専門性)に加えて、

顧客特性(官公需/民需)やM&Aの経緯/段階によっても分かれているとのことで

あり、戦略性を感じます。

 

 

 

 

戦略面でもう一点、

 

製品戦略

 

完成品メーカー志向であるとのことです。考えてみると、

 

当社グループの製品/サービスは、水道管もマンホールの蓋も治具も住宅リフォームも、

・何かに取り付けないと効果を発揮できない単純な部品ではなく、

自社での生産/提供後にそのままで効果を発揮する製品/サービスです。

 

製造業というとすぐに、サプライチェーンの中で云々...と考えがちな私は、

収益性を他社に左右されにくくする戦略として虚を突かれました。

 

 

 

一方で当社は、製品の高付加価値を維持向上させるために、技術革新や製品開発

は絶え間なく力強く推進していて、そのために、

 

ものづくり補助金を積極的に活用

 

しています。

以下はこれまでに当社が活用したものづくり補助金とその事業の概要です。

 

平成24年度ものづくり補助金:新製品開発

・蓄熱性に優れた薪ストーブと排熱を利用した小規模コージェネシステム

 

平成25年度ものづくり補助金:生産管理システムの構築

・ノウハウの社内共有推進と顧客の変種変量/低コストニーズへの対応

 

平成26年度補正ものづくり補助金:検査システムの開発

・当社が開発した特殊治具に画像処理と3次元測定技術を組み込み

・多品種少量/複雑形状製品の生産工程を大幅に短縮

 

平成27年度補正ものづくり補助金:生産技術開発

・様々な強度特性を持つ球状黒鉛鋳鉄製品の生産技術を確立

・マンホールなどの高強度、耐摩耗性、高靭性等のニーズに対応

 

平成29年度補正ものづくり補助金:一部工程自動化

・バリ研削自動化により品質/コスト/納期を改善して受注確保/拡大

 

 

その中で直近の

 

平成29年度補正ものづくり補助金

 

について、現場を取材してきました。

 

この年度の補助金では、

・バリ研削機という機械を導入して

・新幹線の防音壁の土台となるベースプレートという製品の

・バリ(鋳物の型からはみ出した部分)の研削工程を自動化しました

 

ベースプレートは新幹線の防音壁があるところに設置されるものであるため、

相当量産する必要があることは読者の皆さんもイメージできると思いますが、

特にバリ研削工程の効率化が課題でした。

 

そこでこのバリ研削機を導入して、この工程を大幅に自動化したのです。

これにより、この工程に要する時間が3分の1になり、要員が3人から1人に減り、

生産能力の制約による失注なく、積極的に受注できるようになりました。

 

<バリ研削機>

 

 

<丸いバリ>                <四角いバリ>

 

<バリ研削機が火花を散らして研削中>

 

 

<丸いバリの痕跡>             <四角いバリの痕跡>

 

 

 

当社グループの

 

経営理念は「価値創造」「堅実経営」「時流適応」

 

です。

 

理念は大事だ、と私はいまさらながら気付きました。

 

 

 

 

掲載内容についてのご質問などは、

G-Club事務局までお問合せ下さい。

 

お問合せはコチラ

 

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。分の一

G-Clubイメージ
Copyright ©岐阜県中小企業団体中央会
All Rights Reserved.